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更新日:2023年11月2日

やまなし大使・内山しのぶが取材~移住して活躍する人々に聞く「夢が見られる山梨♡夢を叶える山梨」第2回・移住から広がった未来

他県からの移住者が増え続ける山梨県。山梨で生まれて山梨で育った人にはわからない“山梨の魅力”はどこにあるのか?
やまなし大使でもある内山しのぶが多方面で活躍する老若男女に取材インタビューしてお届けする連載。第2回は東京生まれ、東京育ちで富士山麓の鳴沢村に移住した、UTYテレビ山梨「スゴろく!」の「これってレべチ?」でお馴染みの岡田美里さんに話を聞いた。

タレント・岡田美里さん

岡田美里さん

1984年聖心女子大学卒業、雑誌「POPEYE」のモデルなどで活動した後、22歳の時にキャスターとしてデビュー。28歳で俳優・堺正章さんと結婚し2人の娘を授かる。離婚後、二人の娘を育てながら2008年にデンマークで35年の歴史をもつ「トロールビーズ」の輸入総代理店の代表者を経て2016年にデンマークで創業83年の老舗ジュエリーブランド「ハウスオブアンバー」の取締役に就任。
祖母はデンマーク人、父はE.H.エリック、叔父は岡田真澄。日本紅茶協会認定名誉ティーインストラクター、DMC刺繍メンターとしても活躍。2022年に幼なじみのパートナーと入籍。「ジャムオブワンダー」のWEBサイトでジャムなどを販売。現在はUTYテレビ山梨の番組【スゴろく】にレギュラー出演中。

 

Q東京生まれ東京育ちの美里さんが鳴沢村に住むことになった理由は?

今から25年くらい前、女性誌の撮影でアルフレックスのカーサミア河口湖(外部リンク)来て、あまりに素敵なロケーションと建築に感銘を受け「いつかここに住みたい」と決意しました。鳴沢村の中でも自然が残る場所を探して、ここに家を建てることになりました。その頃はまだこのあたりは森がうっそうとしていて、まるで富士山麓の樹海のようでした。国道から近いのにワイルドな森が気に入って、この森を生かす設計をアルフレックスに依頼し建築。

外観
イタリアを思わせるコの字型の平屋設計の建築

キッチン
森の眺めをいかしたキッチン

廊下
光がいっぱい差し込むコの字型の部屋を繋ぐ廊下

 

でも当時娘たち2人は中学生と高校生。2人ともダンス部に入っていたので一年中お稽古に明け暮れ、お休みもほとんどなく、私も刺繍クラスやお料理教室が忙しかったので、できた後ほとんどここに来ることができず、忙しさの中で家の存在すら忘れているくらいでした(笑)。そんなわけでここは15年くらい空き家同然でした。


コロナが始まる数年前だと思いますが、母がパーキンソン病になり当時住んでいた成城の小さな家で母との同居が始まりました。でも同じ家の中でお教室をやっていたので、母との同居がどんどん難しくなっていきました。コロナの少し前のことでしたが、母と一緒に山梨への移住を考えるようになりました。でも東京に生まれて東京で育った私は、山梨に移住することがなかなか受け入れられなかったのです。

娘たちが嫁いだ後は今の主人となったパートナーと二人の生活が始まったばかりでしたので、パートナーとの生活を手放してまで移住すべきか悩み抜きました。しかし親友に相談したところ、「今介護をやらなかったら一生後悔するわよ」と言われ、その言葉にㇵッとして、母と一緒に山梨への移住を決意したのです。


悩んでいるときって、占いやら方位やらいろいろ頼るものなんですね(笑)。母とエンジェルカードを引いたら、2人とも“引っ越しが吉”で方位もばっちりだったので、これはもう「移住するしかない!」心にと決めました(笑)。さらにその頃、大学時代の心理学の先生でもあったシスター・鈴木秀子さんの新刊に出会い、シスター鈴木がご覧になっていたYouTube「田坂広志さんのすべては導かれている ー逆境を越え、人生を拓く五つの覚悟ー 」に感銘を受けました。私の現在の状況に田坂さんの言葉が、心にしみわたり、「母のためにここに住む」という覚悟が決められたのです。

大げさかもしれませんが、人生のありかたを悟りました。覚悟を決めたら、人生って不思議なもので、昔代表を務めていたデンマークのブランド「トロールビーズ(外部リンク)」のビジネスがまた私の手元に戻ってきたんです。日本で初めて私がスタートさせて手塩にかけて育てたブランドでしたので、また戻ってきたことにびっくりした半面、「これこそ自分のお役目だ」と思い、山梨にトロールビーズのオフィスを作り、再スタートしました。

時期を同じくして、また犬を飼うことになり、私自身の中で一点の曇りもない、鳴沢村での新しい暮らしがスタートして、それからもう5年になります。今、母は足腰が弱くなって車椅子生活を余儀なくされ、鳴沢村にある施設に入っていますが、母はそこがとても好きで施設のみなさまによくしていただき、楽しんで暮らしています。

Q 住んでみて分かった山梨の良さ、鳴沢村の魅力は?

移住してきた5年前、最初にお友達になってくれたのが、山梨のキノコ王こと故・金子修さんでした。毎朝声をかけていただき、いろいろな方とのご縁を繋いでいただきました。

きのこ王の店
きのこ王の売店。珍しい天然きのこや旬の果物が並ぶ

東京生まれ東京育ちなのでご近所付き合いをほとんどしてこなかった私が一番びっくりしたのは、朝起きると胡瓜やナス、プラムや栗が、玄関に置かれてること(笑)!それも食べきれないくらい!実際に暮らしてみて人の温かさと優しさを実感し、「地域の人と仲良くするのはなんて素敵なことなんでしょう」と思いました。そしてキノコ王から学んだのは、“山梨の人の食に対する感度の高さ”です。トウモロコシを焼くときは必ず炭で焼いたり、野性の天然キノコの鍋を食べたり。山梨に来て初めて野性の天然キノコの鍋を食べましたが、おいしさのレベルが違います!

ほかの方にも聞いたのですが、「山梨の人は食に対する意識が高いから、本当に美味しい店しか残れない」そうです。数は少ないけれど中華やフレンチ、洋食の美味しいお店が近くにもあります。東京には出荷しない葡萄や桃の種類もたくさんあります。

今テレビ山梨のお仕事で、山梨のレベルの高い食を訪ねる番組(UTYテレビ山梨「スゴろく!」木曜日の「これってレべチ?(外部リンク)」コーナー)をレギュラーでさせていただいてますが、毎回食レベルの高さに驚いています。

Q 山梨に移住してわかった鳴沢村の良さは?

自然が大好きでここに家を作ったのですが、住んでみると毎日旅行しているみたいな気分になります(笑)。仕事で鳴沢村と甲府とを行ったり来たりしていますが、河口湖から甲府へ抜けていく精進湖線が本当にきれいで大好きです。

山梨県内で小さい旅行もしました。昇仙峡の紅葉の美しさに驚き、八ヶ岳の麓の大らかな景色にリラックスし、どこに行ってもいろいろな顔の自然があふれていてあきません。昔から、山の樹木を見ながらドライブする旅が好きでしたが、特に富士山の樹木の美しい佇まいにはほれぼれします。さらに富士山の裾野の特筆すべきなのは、山麓から富士山までの道がまっすぐなことです! こんなにまっすぐに自然を愛でながら走れる道は、北海道以外にここしかないかと思います。だから、家から富士吉田にいくときもあえて鳴沢村を通ってまっすぐな道を楽しみながら行きます。

1本道
鳴沢村のまっすぐに伸びる1本道

富士山が噴火してから約1000年。富士山麓の玄武岩の上に生い茂る幼い森は樹木がカラリとした風情で、他では見られない美しさです。そして五つの湖それぞれに、富士山の見え方も景色も全く違います。この地域にいるだけで、まるでずっと旅行をしているみたいな気分になります。だからここに来てからは「旅行に行きたい」と思わなくなりました。住んでみて初めて気づく美しさですね。冬は西湖から冷やされて昇った空気と森の空気が合わさって雪が降ります。それもこのエリアだけ。雪が降ると野兎の足跡が可愛いんですよ。移住するのが嫌で嫌でしょうがなかった5年前には想像がつかなかったくらい山梨が好きになりました。

Q 現在の暮らしは?

実は昨年5月にパートナーと再婚しました。これも山梨に移住していろいろなものに導かれた結果です。現在はトロールビーズのリアル店舗を代々木にオープンし、東京と山梨を拠点にして行ったり来たりしています。そして今年の夏の終わりに、東京から持ち込んで来た大量の家具や料理道具をかなり整理しました。これから先、娘たちへこの家を渡すことを考えて、宿泊やイベントができるような施設として民泊で貸すことにしたのです。もちろん私たちも帰って来られるような形になっています。ここの美しさを多くの方に知ってもらえるように、海外の方にも情報を発信しています。よろしければぜひ鳴沢村の美しさを体験しにいらしてみてください。

リビング
明るい色調の広いリビング。民泊ができるようにとインテリアを整えなおした

玄関
木製の枠とガラス戸の佇まいが美しい玄関

家具
玄関から寝室に入る入口に置かれているセンスの良い家具

 

美里さんと雑誌のお仕事で初めてお会いしてから早30年。それから今まで、美里さんの人生の転換期にお会いすることが多く、いつも前を向いて歩いている美里さんからパワーをいただいています。今回のインタビューの中に出てくる田坂広志さんのYouTube「すべては導かれている ー逆境を越え、人生を拓く五つの覚悟ー」を拝見して私も大変感銘を受け、これからの人生を考えるきっかけになりました。

インタビュアー&文

内山しのぶ

内山しのぶ様

山梨県甲州市勝沼町生まれ。やまなし大使。1989年編集者として(株)世界文化社入社。女性誌『家庭画報』副編集長を務めた後、料理雑誌『家庭画報デリシャス』編集長。『MISS』『MISS ウエディング』『きもの Salon』『GOLD』の編集長を約 12 年間務める。2016年~現在 (株)集英社HAPPY PLUS STORE サイトにてコンテンツマネージャー。アーティスト本の企画編集刊行なども務める。

料理家として、調理師免許、国際中医薬膳師、マクロビオティックコンシェルジュ、オーガニック料理ソムリエなどの資格を持ち、料理雑誌や企業の刊行物にレシピを寄稿。自宅アトリエでヌーヴェル薬膳料理教室をオープン。著書に料理本『しのぶ亭へようこそ。編集長のおうちごはん』がある。

2019年甲府市・昇仙峡の再活性化をめざす「昇仙峡リバイバル会議」でアドバイザーを務め、「お座敷列車で行く山梨県峡東ワインリゾートツアー」など山梨のPRに関わる。

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