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丸政社長

更新日:2019年5月22日

「駅弁マニアの聖地」小淵沢駅の駅弁屋さん ~やまなし観光産業 経営者インタビューVol.4~株式会社丸政 代表取締役 名取政義 氏

やまなし観光推進機構では、県内の観光事業等において頑張っておられる企業経営者のインタビューを通じて、キラリと光る取組みをご紹介しております。
今回は、大正7年(1918年)から「駅弁マニアの聖地」中央線小淵沢駅の駅弁メーカーとして100年の歴史を持つ、北杜市小淵沢町に本社を構える株式会社丸政の名取政義社長をご紹介いたします。

【駅弁とともに歩んだ100年  そして、その先へ】

 

丸政会社写真

(線路越しに見る丸政本社 )

 

株式会社丸政 沿革

1918年 名取政一氏(政仁会長の祖父)がJR中央線富士見駅構内にて雑貨類の構内営業許可を取得し創業

1929年 富士見駅前の大火により自宅を焼失。これと同時期に、JR中央駅よりJR小海線が分岐することを知り、商売の拠点を小淵沢駅に移すことを決断

1944年 弁当販売を開始

1955年 株式会社丸政設立

1985年 テレビ朝日「探検レストラン」により生まれた駅弁「元気甲斐」発売開始

1995年 株式会社マルマサホテルシステム設立(レストラン・宿泊事業を受託)

2002年 JR中央線甲府駅へ駅弁納入開始

2004年 小淵沢駅にショップ「デュオレールこぶちざわ(現 MASAICHI)」オープン

2005年 昔ながらの駅弁の立ち売りを復活

2010年 JR中央線長坂駅に「四代目丸政」ラーメン店(現 丸政そば)をオープン

以降、JR中央線韮崎駅、甲府駅北口、甲府駅南口に「丸政そば」をオープン

 

 

丸政看板 昔

(創業当時の営業看板)

 

 

【丸政の駅弁の奥深さ】

―「丸政の駅弁」と言ったら「元気甲斐」弁当ですが、どの駅でも買えるのですか?

 

今は、小淵沢駅を主体に販売しています。
輸送の関係で、平日は小淵沢駅だけの販売となっています。
土曜日と日曜日のみ、甲府駅構内の売店でも販売しています。
3月でJR中央線の特急車内でも駅弁の販売が終了になりましたので、販売場所が少なくなってきてしまっていますね。

 

―「元気甲斐」弁当は、ちょっと値段的には高めだと思いますが

 

そうですね。発売当時の一般的な駅弁と比較すると2倍くらいの値段になっていたでしょうかね。
みなさんご存じのとおり「元気甲斐」弁当は、テレビ番組から作り出されたお弁当です。そのころは、バブル最盛期であり、駅弁で料亭の懐石料理を提供することを目指し、テレビ局を含め愛川欽也さんを筆頭に開発メンバー全員で妥協しない駅弁を目指しましたので、どうしても販売価格が高くなってしまいましたね。当時1200円(現在1600円)の値段で本当に売れるのかと思っていましたが、空前の大ヒットとなりましたね。小淵沢町民5000人に対して3000人がお買い求めに来られて、大パニックになりましたよ。(笑)
今でも年間4万食はご購入いただいています。根強いファンがいらっしゃいますよ。

 

 

丸政新聞

(駅弁騒動の新聞記事)

 

―バブル期だから作れた駅弁だったのでしょうか?

 

そうかもしれません。
駅弁も時代を反映して開発しています。
今は「早く、簡単に食べれて、安い」をコンセプトにした商品が売れますね。当社の「そば屋の天むす」は、そのよい例です。
年間20万食はご購入いただいています。

 

 

丸政天むす

(年間20万食も購入される人気の天むす)

 

 

―最近は駅周辺にコンビニエンスストアも出店しており、コンビニ弁当に売り上げを取られていませんか?

 

確かに、全く影響がないと言ったら嘘になりますが、大きな影響は感じていません。
改札を入るまでに時間のあるお客様はコンビニ弁当を購入する方もいらっしゃいますが、多くの鉄道利用客は、改札を入って構内の売店で駅弁を購入いただいています。
お客様も、旅行の中で召し上がる食事は「非日常」と考えて「駅弁」をご購入いただけているのだと思います。
コンビニ弁当は、いつでも購入できますからね。

 

―駅弁には旅行の持つ風情といった独特の味付けがあるからなのでしょうか

 

そうかもしれませんね。
私たち駅弁メーカーは、コンビニ弁当とは異なり、どのような状況でも、駅弁を同じようにおいしく食べていただく工夫を施してありますので。

 

―駅弁とコンビニ弁当は、本当に味付けが異なるのですか?
味付けも異なりますが、作るときのコンセプトに大きな違いがあります。

 

―どのような違いなのですか?

コンビニ弁当は、温かい時と冷たくなった時では、食味や味が大きく異なりますよね。ですからレジで温めてお渡しする、といったことを行っていますよね。
これに対して、駅弁は、冷たくなってもおいしく食べることができる工夫が施されています。
当社の駅弁は、48時間経過しても、食味や風味、食感が変わらない駅弁であることをコンセプトに作っています。(販売している駅弁の賞味期限は24時間以内で表示しています)
この技術は、駅弁メーカー各社が競っていますが、当社の技術レベルは国内トップレベルと自負しています。

 

―駅弁は温めなくてもおいしいのですか?

 

はい、電子レンジで温めると風味が落ちてしまうので、温めなおさず食べていただきたいです。

 

―駅弁は特殊なお弁当なのですね?

 

製造技術的な面から言えば、「駅弁」は特殊なお弁当かもしれませんね。
その点がお客様に評価されているからこそ、100年たった今でも「駅弁」として年間150万食もご購入いただけているのだと思います。
東京駅などの大きなターミナル駅の駅弁販売コーナーでは、駅弁メーカー以外の会社、例えば料亭が作るお弁当も一緒に並んで販売されていますけれど、私たちから見れば、「駅弁」ではなく「お弁当」ですね。
やはり「駅弁」と「お弁当」は別物と考えています。

 

―今でも年間150万食もご購入いただける秘訣はあるのですか?

 

国内には約80社駅弁メーカーがあり、各社努力を重ねて頑張っています。
それぞれお客様から支持をいただいているのには、秘訣があると思いますが、当社の駅弁がご支持いただいている秘訣は、製造の際に使っている「お水」だと思います。

 

―お水ですか?小淵沢ですので八ヶ岳の伏流水でしょうか?

 

はい、そうです。八ヶ岳のお水です。
同じ原料・材料を使っていても、お水で味が変わってしまいます。
ぜひ試していただきたいのですが、当社の小淵沢駅と甲府駅の「丸政」のそばを食べ比べていただきたい。
濃縮したそばつゆを、小淵沢工場で作り両方の駅やお店に届けております。
したがって、どこの「丸政そ」で召し上がっていただいても、同じ味のおそばを食べることができる体制を整えてありますが、お客様から、「なぜ味を変えているのか?」といった質問をよく受けます。
「おれは甲府駅の味が好きだな」とか、「やっぱり小淵沢のそばがうまい」とか言われるのですが、正直、同じ材料ですので、返答に困惑してしまうんですよね(笑)

 

 

丸政天ぷらそば

(丸政の天ぷらそば)

 

 

―そんなにお水で変わりますかね?

 

変わります。
おそばに関しては、好みの違いはあるかと思いますが、駅弁に関しては間違いなく、八ヶ岳の水で加工した食材のほうがおいしく出来上がると思います。
個人的には、食品加工業者の皆さんは、ぜひ八ヶ岳山麓に製造工場を移して、八ヶ岳の水を使って製造することを強くお勧めします。
それくらい、お水で味は変わります。
それが、当社の駅弁のおいしさの秘訣だと信じています。

 

《筆者チャレンジ報告》
後日、社長の言葉を確かめるべく、筆者二名は小淵沢駅の「丸政」と甲府駅南口の「丸政」の食べ比べにチャレンジ。
確かに、そばつゆの味が異なります。どちらの味が好みかは食べる方の嗜好によると思いますが、二名とも小淵沢駅の味が好みでした。やはり八ヶ岳の水の力か…
長坂駅、韮崎駅、甲府駅北口の「丸政」はチャレンジしていませんが、読者の皆様も是非チャレンジしてみてください!

 

丸政小淵沢そば店

(小淵沢駅舎内にある「丸政」)

丸政南口そば店

(甲府駅南口平和通り沿いにある「丸政」)

 

 

【 駅弁マニアの聖地  小淵沢駅 】

 

 

―御社は数々の駅弁を開発して販売されていますね。

 

そうですね。一番多い時で48種類の駅弁を作っていましてね。(笑)
でも、現在は23種類に集約しています。基本的には30種類以内にするようにしています。(笑)


―それでも30種類あるのですね

 

はい、30種類ですが、その中には販売以来、メニュー・レシピを変えず継続している駅弁「万作べんとう」、「元気甲斐」、「高原野菜とカツの弁当」の3つがあります。
そのほかの駅弁は、当社を代表する3つの駅弁の引き立て役として開発しています。
引き立て役、と言ってもおいしくないわけではありませんよ。頑張って作っていますから。(笑)

 

 

元気甲斐弁当

(テレビ番組から生まれた「元気甲斐弁当」)

高原野菜カツ弁当

(日本で初めて生野菜が入った駅弁「高原野菜とカツの弁当」)

 

 

―30種類のほかにも、いろいろな記念駅弁を作られている印象があるのですが

 

そうですね、たくさん作っていますね。
私の父親である当社会長が、たくさん記念駅弁を作っていますから。
記念駅弁の開発件数で、ギネスブックに認定されるのではないかと思うくらい作っていますよ。(笑)
今も現役で開発に携わっていますので、まだまだ記念駅弁の開発件数は増えてきますよ。(笑)

 

あずさ号50周年記念弁当

(「あずさ号50周年記念弁当」)

甲府開府記念弁当

(「甲府開府記念弁当」)

 

 

―30種類あると年間150万食は購入されているのもわかりますね

 

はい、小淵沢駅以外の4駅(東京、新宿、上野、大宮)で毎日13種類、約1000食、多い時で1500食はご購入いただいております。
また、小淵沢駅でしか購入できない駅弁もあるため、逆に希少性が生まれることで、小淵沢駅までわざわざ購入に来られるお客様もいらっしゃいます。
小淵沢駅は「駅弁マニアの聖地」となっているようですよ。(笑)

 

山菜おこわ弁当

(小淵沢駅限定 「山菜とり釜めし」)

八ヶ岳高原玉子弁当

(小淵沢駅限定 「八ヶ岳高原玉子と炭火焼肉弁当」)

 

 

―それは丸政の戦略ですか?

 

いや、結果としてそうなっただけです。
本当は多くの駅で販売したいのですが、駅弁の輸送という物流の問題が解決できなくてそのようになっただけです。
駅で購入できないお客様には、全国だけでなく、海外の駅弁関係の催事にも積極的に出店していますので、催事をご利用になった際は、八ヶ岳の水をふんだんに使って作った当社の駅弁を是非食べていただきたいです。

 

―ところで、2017年7月3日に小淵沢駅のリニュアルオープンにあわせて「デュオレールこぶちざわ」から「MASAICHI」にリブランドされましたが、その目的は?

 

 

駅弁を中心とした食のセレクトショップとして、旅のお供に付加価値の高い商品を提供したいと考えて、リニューアルしました。
駅弁だけでなく、旅行者の皆様に旅ナカで旅の思い出となるような商品を提供したいと思っています。
懐かしい、汽車土瓶のお茶も売っていますよ。

 

 

MASAICHI駅弁売り場

(「MASAICHI」の駅弁売り場)

汽車土瓶

(MASAICHIで販売している昔懐かしい汽車土瓶)

 

 

【 駅弁からEKIBEN(Lunch Boxes)へ 】

日本の観光産業は訪日外国人拡大へと舵を切っているが「丸政の駅弁」の海外戦略

 

―海外の催事に参加とのお話でしたが、駅弁をもって出店されたのですか?

 

はい、2002年に初めてロサンゼルスの駅弁大会へ出店したのが始まりです。
今でも毎年3回はアメリカの日系スーパーの催事に参加しています。

 

―アメリカで駅弁が売れるのですか?


日本の食文化に興味を持つアメリカ人は結構多いので、人気があるのですよ。(笑)
今は、主に「天むす弁当」を販売しています。
海外の方々に、付加価値のある商品を如何に伝えて売ったらよいか、にチャレンジしているのです。

 

ロサンゼルス販売風景

(ロサンゼルス駅弁大会出店風景)

 

 

では、輸出しているのですか?


まだ、輸出には至っていません。
海外での催事では、現地のお水と現地のお米を使って、現地で作っています。
どうしても、保存と輸送の問題が解決できていないからです。
でも、冷凍技術を駆使して、解凍しても食味や風味、食感が変わらない技術が確立できれば、日本で作った駅弁を海外で販売することは可能だと思っています。
決してあきらめていませんよ。
近い将来には、海外で「丸政の駅弁」を食べて、その味のルーツを求めて日本へ、山梨へ、そして、「駅弁マニアの聖地」小淵沢へ多くの外国人旅行者が来てくれることを夢見ています。(笑)

―ありがとうございました。海外で「丸政の駅弁」が買える日を心待ちにしております。

はい、実現に向けて更なる技術革新に取り組みますね。

 

「編集後記」

昭和の鉄道の旅の楽しみ方の「食堂車」「駅弁」は鉄道輸送の高速化によりそのスタイルが大きく変化したが、駅弁は根強いファンとエキナカショッピングという新しいスタイルでそのビジネスモデルは大きく変化している。
国鉄時代には、駅弁屋が自ら車内に乗り込み駅弁を販売していたが、「先頭の車両からお客様と目線を合わせながら後方車両に向かって売っていく」「途中で売り切れず、売れ残らず、が理想の販売」は、今のマーケティングや接客の基本がそこには詰まっていると考える。
丸政の駅弁戦略は、基本の3つのメニューのブランド化と新商品の投入と入替えで飽きのこさせない商品戦略と、駅弁からEKIBEN(Lunch Boxes)へと日本人だけでなく海外のお客様にも楽しんでいただく仕掛けづくりの挑戦を行っている。いつの日かニューヨークのグランドセントラル駅で日本の駅弁が買え、その味に魅了された外国人が小淵沢駅の「MASAICHI」で駅弁を買う姿この目で見てみたい。

 

 

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施設情報

E353弁当

株式会社 丸政

山梨県北杜市小淵沢町996

電話番号:0551-36-2521

施設の詳細を見る(外部リンク)

 

 

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