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タンザワ会長インタビュー

更新日:2019年4月4日

河口湖ハナテラスに込めた想い ~やまなし観光産業 経営者インタビュー Vol.1~株式会社タンザワ 会長 丹沢良治氏

やまなし観光推進機構ツーリズムビジネス活性化センターでは、県内の観光事業等において頑張っている企業経営者のインタビューを通じて、キラリと光る取組みをご紹介していきます。

初回は、甲府の甲州夢小路、河口湖のハナテラスをはじめ、全国の観光地において天然石・アクセサリーの販売を行う自社直営店を49店舗展開している株式会社タンザワの丹沢良治会長を紹介します。

株式会社タンザワ 沿革
 1957年 丹沢正一氏(良治会長の父)がガラスメッキ業の丹沢製作所として創業
 1967年 丹沢良治会長が引き継ぎ天然石アクセサリー卸を始める
 1996年 甲府の県立美術館近くにクリスタル・ミュージアムをオープン
 1998年 小樽に初めての直営店舗「石の蔵」をオープン
 以降全国の観光地に「石の蔵」、「石ころ館」、「玉屋」、「凸凹堂」などのネーミングの直営店を49店舗展開。
 2013年 甲府駅北口に甲州夢小路オープン
 2017年 河口湖に富士大石ハナテラスオープン

 富士山0124の2

 

― 「タンザワの直営店は、すべて観光地にあるのですが、どうしてデパートやショッピングセンターへは出店しないのですか?」

 

デパートやショッピングセンターは、その地域の人口の変化や市場の変化を敏感に受けて、変動が激しいことから、売上の変動も大きくなってしまいます。また、デパートやショッピングセンターは「目的買い」のためにお客様の来客が多いですが、当社の主力商品であるアクセサリー類は「衝動買い」でご購入いただく商品のイメージですので売り場的に馴染まないと考えているからです。

また、デパートやショッピングセンターへ出店すると、営業的な制約があり、お店自体の個性が出しづらくなることも出店しない理由の一つです。

 

―「では、なぜ観光地への出店なのですか?」

 

観光客が訪問目的とする歴史や古い街並み、自然風景は、大型資本でも買えない普遍的な価値を持っています。したがって、観光地はデパートやショッピングセンターのように、短期的な変動を受けにくく、長期的な視点で事業を行える場所と考えているからです。

また、観光は、「非日常」であり、「衝動買い」でご購入いただく当社の商品にマッチした場所なのです。

 

 

株式会社タンザワでは、全国の観光地へのアクセサリーショップの出店以外に、甲府市の甲州夢小路と富士河口湖町のハナテラスという地場の伝統工芸品や飲食店等のテナントを集めた観光施設を経営されています。

 

―「一昨年、河口湖の大石地区にハナテラスをオープンされましたが、なぜ大石地区を選んだのですか?」

 

選択の理由は3つあります。

一つは、河口湖と富士山を一緒に見ることができる景観です。写真撮影スポットにもなる素晴らしい風景を見ることができる場所で、風景を含めた価値があると考えたからです。

二つ目は、駐車場確保の問題です。大石地区は大石公園があるくらいで開発が進んでいなかったことから、比較的駐車場の確保が容易だったからです。

富士・河口湖エリアは、首都圏から自家用車を利用して日帰りでくるお客様が多いですよね。したがって、駐車場の確保は絶対条件と考えていました。

三点目は、開発が進んでおらず、大手資本が入っていなかったので、この地区に今までの河口湖にないものを作れると思ったからです。

 

以前の物見遊山の男性主体の観光バスによる旅行が減り、女性が主体の個人旅行が増えています。個人旅行が増えたことで、街をそぞろ歩きして、こんなところにこんなものが。という旅行を楽しむ方が増えてきました。

そこで、ハナテラスは女性をターゲットに、街歩きをしながら「ゆったりとした時間を過ごしてほしい」ということをコンセプトにしています。

パンフレットにあるように、「ふじを愛で」、「はなを愛で」、「ときを愛でる」でゆったり楽しんでいただき、女性の癒しの場となればよいですね。

 

―「しかし、大石地区は河口湖駅から遠いですが、ハンディーはないのですか?」

 

駅からハナテラスまでの交通手段においてハンディーが当然あります。しかし、地元の富士急行さんも大石地区のことに対して配慮していただき、定期バスの本数を増やすなどの対応はしていただいています。

ただ、幸いにも先ほど言った通り、首都圏から自家用車で来られるお客様が多いので、駐車場を確保できていることで、来場客数は増えています。

自家用車利用のお客様も入りやすくするため、駐車場を完全無料としていることも効果があるのかもしれません。

 

―「会長が描く大石地区の理想の姿はどのようなものですか?」

 

海外でいえば、ドイツのライン川流域にあるリューデスハイムという、ライン川下りの拠点になっている街があります。この街には、ぶどう畑やワイナリーがあり、船着場から石畳の街をワイナリーまで数百メートル歩くのです。

その石畳の道沿いに、レストランや地元の生産品を販売するショップ、クリスマス商品のみを扱うお店などがあり、観光客が船着場からワイナリーまでをゆったり歩きながら食事やショッピングを楽しんでいます。

大石地区においても、山側の古民家地域まで石畳の道を街歩きできるような地域になったらいいな、と思っています。

 

―「会長は国内のみならず、海外にも足を運ばれ、いろいろな街並みをよく勉強されていますね。」

 

街づくりには若いころから興味を持っていました。家業がなければ、建築系の学校へ進学したいと思っていました。今では、自分の趣味のような感じでしょうが、国内旅行や海外旅行をした際にも、その街の良いものを記録して、ハナテラスや甲州夢小路のコーディネートに取り込んだりしています。

 

―「会長のイメージは、ハナテラスや甲州夢小路のサイズではないのでは?」

 

街づくりはもっと広い地域が対象となりますね。

でも、ハナテラスや甲州夢小路を展開するに際しては、その場所だけでなく、その地域全体の街づくりについてもイメージしています。

例えば、甲府駅周辺地域は、手に技術を持った若い人たちが働きたくなるような場所や、若い人たちが集まりたくなるような場所になったら良いですね。そのためにはどのようなことが必要なのかな、など、常にイメージはしています。ですから、甲州夢小路は、甲府駅や甲府城を中心としたエリアの活性化の核にすぎないと考えています。

 

―「では、どちらの地域もまだ開発途上、ということでしょうか?」

 

そうですかね。(笑)

 

 

―「ハナテラスには、地元の企業しか出店されていませんが、何か理由があるのですか?」

ハナテラスもそうですが、甲府の甲州夢小路も、出店されるお店について、基本的には地場産業のお店と決めています。

 

―「なぜ地場産業のお店なのですか?」

 

それは、自分自身の事業に携わっていた経験からでしょうか。当社は私の父親が戦後創業したわけですが、父が早くに他界したので若い時に父親の仕事を継ぎました。

もともと当社は製造業です。製造業者にとって、製品をお金にするには、卸業者や小売業者に頼らなければなりません。そのために、立場が弱く、資金繰りにおいてどうしても卸業者や小売業者に、主導権を握られてしまうのです。

私は、若いころから何とかこの流れを変えて、「自分で製造して自分で売る」といった製造小売体制を作り上げたいと思って取り組んできました。それが今のタンザワなのです。

 

―「確かに、小売ができれば製造業者の利益率も上がりますよね。」

 

そうです。ですから、山梨県内で頑張っている製造業者の皆様に、私と同じように、製造小売事業に業態を変えてほしいのです。

また小売を行うことで、お店にどのような人が来てどのようなものを好むか等の反応を直接知ることができることも、モノづくりを行う上で重要と考えています。製造業がブランドを確立するのは容易ではありませんが、小売りを行うことでブランドも確立してくると思います。

そのためにハナテラスや甲州夢小路の店舗を使っていただきたいのです。

 

―「でも、製造小売事業を目指すにも、店舗を構えるには相当の初期投資が必要になるのでは?」

 

確かに、店舗を構えるには初期投資の金額が大きくなるのが一般的ですね。ですから、ハナテラスや甲州夢小路では、製造小売事業へ歩みを進めたい事業者様の相談を受けながら、店舗面積などに対して融通をきかせて対応しています。

 

―「家賃や売上歩合などでの支援もあるのですか?」

 

ハナテラスや甲州夢小路では売上歩合をいただきません。

売上歩合を取っては、せっかく製造小売事業に歩みを進めようと頑張っている事業者様の利益を減らしてしまうことになり、頑張る力、つづける力を削いでしまうため、家賃だけをいただくことにしています。実店舗面積だけでいただくなど、相当ディスカウントさせられますがね(笑)

それでも、若くて元気な地場産業の製造小売事業者が増えればよいと思っています。

 

―「ハナテラスは、観光客の癒しの場というコンセプトだけでなく、地場産業育成の場といった意味合いも強いのですね。」

 

地場産業の育成といえば大袈裟かもしれませんが、ハナテラスなどでの小売り事業の実績を足掛かりに、元気になってもらいたいですね。独立して運営できるまで成長していただけることを期待しています。

 

―「話はそれましたが、ハナテラスの入込や、御社の売上は増えていますか?」

商品をお買い上げいただいたお客様は年間15万人ほどいらっしゃいます。来場されたお客様は、45万人から50万人程度でしょうか。ハナテラスの認知度もアップしているので、当社の売上も増加しています。

 

―「出店している事業者も売上もアップして利益を確保できているのでしょうか?」

個々の出店事業者の状況は把握していませんが、来訪客数が増加しているので、売上もアップしているのではないかと思います。少なくとも赤字にはなっていないと思います。

 

 

ー「全国各地に店舗がある中で、山梨県で甲州夢小路やハナテラスのような複数の店舗の入居する施設を作ったことには、特別な思いがあるのでしょうか?」

 

これまで海外や国内で色々な街を見てきました。活気のある街もあればシャッター街となり衰退していく街もありました。今後は、高齢化等を背景に、コンパクトシティー化が進むことが想定されています。

そのような中で、自分が生まれ育った山梨県で、観光客だけでなくそこに住んでいる人も楽しめ、お互いが交流できるような場所が提供できればと考えています。

 

―「大石地区は元気になっているように感じますが、更なる発展のために大石地区に必要と思うものはありますか?」

 

今は、大石公園、大石紬伝統工芸館とハナテラスの3箇所が主な見どころとなっていますが、例えば山側にある古民家などをリノベーションして宿泊施設ができたり、またクラフト作家などが工房と店舗、住宅一体の建物として活用したりできれば、ハナテラスや大石公園からの回遊性も高まり、さらに活気が出るのではないかと思います。

また、河口湖駅から大石地区まで移動手段として、河口湖の船津地区、大石地区、勝山地区、長浜地区の4か所を回る定期遊覧船があれば、河口湖全体に活気が出るのではないかと思います。

 

 

―「今日はありがとうございました。ハナテラスのコンセプトが観光客目線だけでなく、地元目線での取り組みであることを理解できました。」

 

ハナテラスや甲州夢小路をステップに、山梨県内で製造小売の事業者が増えて元気になってくれると山梨県も活気が出てきますね。そのような元気な事業者の独立を応援したいと思います。

 

観光庁では、現在日本版DMO(Destination Management Organization)の形成・確立を進めているが、同社のビジネスモデルはまさにDMC(Destination Management Company)による観光地経営といえるのではないか。

観光庁によれば、DMO(DMC)とは、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人と定義されている。

 

一か所の地区に複数の地場産業を集めて、街歩きをしながらの買い物を進めるスタイルを提案していることや、従来製造しか行ってこなかった会社が、直接小売りにまで携わることで、販売単価及び利益率の改善を図る仕組みを構築していることは、地域の観光資源を生かした観光地経営を主導しているといえる。

 

これまで県内の製造業は、県内でモノを作り、物流システムを使って県外にいる消費者にモノを届けるプロセスがあたりまえだった。現在の富士大石ハナテラスでは、製造業が県内でモノを作ることに変わりはないが、消費者が自らのコストで山梨県内に移動し、買い物を楽しむ。

消費者の購買行動が、居住地での消費からDestination(目的地)での消費となるようにManagementしていることから、観光は、゛物流コストを消費者自身のコストに転換するシステム“といえるのではないか。

 

現在はECや流通が発達しており、単純にモノを消費するだけであれば、Destination(目的地)を山梨県にすることは容易ではない。この点、富士大石ハナテラスでは、富士山や綺麗な街並みに囲まれた中で、買い物を楽しんだり、食事をしたりと、消費者のニーズを満たし、消費を促す仕組みを整えていることも、観光地経営のポイントになっているのではないかと思う。

(公益社団法人 やまなし観光推進機構 ツーリズムビジネス活性化センター 佐藤・大森)

 

 

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施設情報

hanaterrace

富士大石ハナテラス

〒401‐0305 山梨県南都留郡富士河口湖町大石1477番1

電話番号:0555-72-9110(□〇堂 富士大石)

施設の詳細を見る
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施設情報

yumekoji1

甲州夢小路

〒400‐0031 山梨県甲府市丸の内1丁目1-25

電話番号:055-298-6300

施設の詳細を見る(外部リンク)
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