ここから本文です。
更新日:2020年2月17日
先般、ワイン県宣言をした山梨県。『ワイン県やまなし』として「おいしい相性、見つけよう」をテーマに、県産ワインと食材の魅力を知ってもらうPRイベント「ワイン県・新マリアージュのススメ」を2月1日に東京にて開催しました。
この日は、長崎幸太郎山梨県知事をはじめ、ワイン県副知事の作家・林真理子さん、世界的ソムリエ・田崎真也さんによるトークセッションも行われ、山梨のワインの魅力を聞くことができました。田崎真也さん考案の新マリアージュも4組発表されましたので、その様子をご紹介します!
会場は、東京・日本橋にある田崎さんプロデュースのレストラン『Y-wine(わいわい)』。
9年前に山梨県と田崎さんのコラボレーションにより、山梨県のワインをアピールするワインレストランとしてオープンし、
約300種類の山梨県産ワインの他、山梨県から直送されるフルーツや高原野菜、川魚、県産ブランド肉から、
鹿肉など季節の食材を使った料理とのマリアージュを楽しめるお店です。
▲(左から)長崎幸太郎知事、ワイン県副知事 ソムリエ・田崎真也さん
日本で初めてワインを製造してから150周年を迎える山梨県。田崎さんは、山梨県産ワインの魅力について、
「山梨は起伏に富んだ土地柄で、多様なブドウの品種が生産され、山梨ワインといっても一言では語れない。
また、醸造方法の違いによって、同じ品種でも様々なタイプのワインが造られている。
実際には、千数百種類のアイテムが存在しており、非常にバリエーション豊かな県です」と語る。
▲(一番左)ワイン県副知事 作家・林真理子さん
ワイン産地・勝沼の隣町、山梨市で生まれ育った林さんは、高校時代に“ジベ(ジベレリン処理の略)”と呼ばれる
種無しブドウを作るアルバイトで勝沼に通っていたそうで、現在は週に2~3回はワインを飲むというワイン愛好家。
特に、甲州種のブドウで造った「甲州ワイン」が大好きで、「和食に合い、フルーティーで軽やかで繊細な感じが、
世界中どこに出しても恥ずかしくない!」と甲州ワインへの想いを語られました。
いよいよお待ちかね、田崎さん考案の新マリアージュの試飲・試食です!
「日本ワインはやさしく上品でエレガント。日本はワインを選ぶとき、料理に合わせてマリアージュを考える習慣が
まだ根づいていないが、ワイン合わせることによって、もっと料理が美味しくなるというのが相性の基本。
この料理だったらこのワインというように、ワインをソースのようなイメージで料理と合わせ、相性を楽しんで」と田崎さん。
1組目
「2018 フジッコワイナリー甲州スパークリング ×
富士の介(ふじのすけ)のマリネ~自家製リコッタチーズ風~」
「富士の介」は、山梨県で10年の歳月をかけ開発したキングサーモンとニジマスを掛け合わせた魚で、
脂肪分が適度に入ったまろやかな味わい。甲州ワインにある柑橘系の香りとのマリアージュを意識して、
グレープフルーツジュースで軽くマリネ。アクセントに、県産の牛乳で作ったリコッタチーズと、
県産イワナのイクラ、グレープフルーツジュースのジュレがトッピングされています。
「富士の介の料理にフレッシュ感を与えているので、ワインもフレッシュなタイプのものをセレクトした」とのこと。
甲州ワインと調和し、「富士の介」の美味しさを楽しめるマリアージュです。
2組目
「2018 シャトーメルシャン 岩出(いわで)甲州きいろ香(か) キュヴェ・ウエノ ×
ほうとうのエッセンスを感じるフェットチーネ」
このワインは、単一の畑のぶどうだけで造られたワイン。
同じ甲州種のぶどうでも畑によって風味が違います。それがテロワールです。
このワインは、甲州の個性がよりはっきりしたものがセレクトされています。
特に「甲州きいろ香」は、グレープフルーツの香りがはっきりと感じられる上、甲州種のぶどうは、
灰色ぶどうというカテゴリで、白ぶどうよりも酸味が鮮やかで、枯れ葉のような後味が特徴。
出汁(だし)を使った料理と良く合います。
フェットチーネ(麺)にはかぼちゃが練りこんであり、県産の味噌を入れたカルボナーラ風。
甲州のまろやかさ、後味に感じる枯れ葉を思わせる風味、ほろ苦さをともなった味わいと非常に相性が良い一品です。
3組目
「2018 白百合醸造ロリアン セラーマスター マスカット・ベーリーA ×
鹿肉のミートボール~マスカット・ベーリーAとカシス風味~」
「マスカット・ベーリーA」は、イチゴを思わせるような果実の香りが華やかで、
一般的な赤ワインには無い香りが楽しめる日本独特の個性のあるワイン用ぶどうの1つ。
甲州に次いで、「マスカット・ベーリーA」も“OIV(国際ぶどう・ワイン機構)”に登録され、
最近、海外でも少しずつ注目されている品種です。
「甲州の味わいは他の国のワインにはない、独特な個性を持っている。
特に和食の世界的な広がりにより、和食に合うワインとして輸出も伸びてきている。
マスカット・ベーリーAも次いで広まっていくのではないか」と田崎さん。
「マスカット・ベーリーA」のワインは、イチゴ、カシスにスミレや野ばらのような花の香りで
非常に華やかですが、一般的なスパイスの香りが強い赤ワインと違い、スパイシーなローストや
グリルのような肉料理に合うタイプではないので、鹿肉を選んだとのこと。
鹿肉は、脂肪が少なく鉄分からくる香りと相性の良い、県産のカシス、マスカット・ベーリーAのワインを
ソースに使用。鹿肉は臭みもなく、ソースとワインの華やかな香りとの相性の良さを楽しめました。
4組目
「2016 サッポロワイナリー グランポレール 山梨 甲斐ノワール 特別仕込み ×
甲州ワインビーフのロースト~ふき味噌風味ソース~」
「甲斐ノワール」は、ブラッククイーンとカベルネソーヴィニヨンを掛け合わせた山梨県で生まれた
ワイン用ぶどう品種で、酸味のフレッシュな印象とグリーンペッパーの爽やかなスパイス感が存在します。
「甲州ワインビーフ」は、赤ワインの搾りかすをエサの中に混ぜて与えた牛肉で、
甲斐ノワール由来のグリーンペッパーの青さを感じるフレッシュさに合わせるために、
山梨から直送のふきのとうと県産の味噌などを合わせたふき味噌ソースが添えられています。
肉にふき味噌ソースを少しつけ、このワインに合わせると、ふき味噌の苦みと甲斐ノワールが調和し、
肉の美味しさを一層引き立てるだけでなく、ワインもより美味しく感じられました。
「日本の赤ワイン、特にカベルネ系は秋の長雨のために、仏・ボルドーや米・カリフォルニアのような
成熟には達しないが、青いスパイスの香りが感じられる。それが日本のカベルネ系の赤ワインの特徴だ」
と語る田崎さん。
▲林真理子さんも「美味しい!」と太鼓判。
ひと昔前までは、甲州ワインは個性がはっきりしていないとあまり評価されていなかったものの、
近年OIVに登録されたことと、和食の世界的な広がりにより、甲州の特異性が理解されるようになり、
「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」などワインの国際的なコンクールで金賞を受賞する甲州ワインも生まれてきました。
「甲州ワインがオリジナリティとして理解されてきた証」と田崎さんは言います。
長崎知事は、「甲州ワインは和食だけでなく、中華料理やベトナム料理とも合う。
特に山梨県は四川省と姉妹都市35周年を迎え、四川料理と甲州ワインのコラボレーションを
世界にPRするプロジェクトを四川省と共同で行う予定。
将来的には、ベトナムや姉妹都市のアメリカ・アイオワ州とも連携しPRしていきたい」
と世界に発信していく考えを示しました。
ご紹介した4品の料理は、レストラン『Y-wine(わいわい)』にて、期間限定で提供しています。
この機会に、田崎さんが提案する新マリアージュをお試しください。
山梨には80軒ほどのワイナリーがあります。中には、小さなワイナリーゆえ生産量が少なく、
あまり県外に出回っていないものも数多くあります。ぜひ山梨へお越しいただいて、ワイナリーに足を運び、
山梨の自然を感じながら、山梨の美味しい食材とのマリアージュをお楽しみください。
新しい発見があなたを待っているかもしれません。
Related facility
施設情報
|
「富士の国やまなし館」では山梨の特産品を数多く取りそろえています。
中でもワインは、約300種の山梨県産ワインを販売しています。
有料テイスティング(ワインは7種類ほど。価格帯は300円~600円前後)があり、山梨のこだわりのチーズやベーコンなどの
おつまみもありますので、お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
Related facility
施設情報
『富士の国やまなし館』 東京都中央区日本橋2-3-4日本橋プラザビル1F 電話番号:03-3241-3776 (商品に関して) 03-3243-8600 (観光に関して) |