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更新日:2019年5月29日

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山梨のおすすめ花火大会「神明の花火大会」~花火師の想い~

 今年も花火の季節がやってきました。民放のテレビ番組で「一流の花火師が選ぶ絶対見るべきスゴい花火大会」で第1位を獲得し、県外からも注目を集める「神明の花火大会」。
 
 そして、今年令和最初となる第31回神明の花火大会が行われます!「神明の花火」の歴史を積み上げてきた二大花火店から「花火が作られるまで」や「打ち上げ花火に込めた想い」について、また、市川三郷町で国産の手持ち花火を販売している老舗花火店から手作り線香花火「市川三郷神明牡丹」に込めた想いを聞かせていただきました。

 市川三郷町は花火の町としての歴史は古く、その起源は信玄が戦の際に使った狼煙(のろし)に始まるといわれています。江戸時代は甲州の市川、常州の水戸、三州の岡崎と「日本三大花火」の一つに数えられました。

 その後、市川三郷では神明社のお祭りに有志が集まり花火を上げていましたが、明治から昭和にかけ火薬の取り扱いが規制され一度息を潜めることとなります。現在の形の「神明の花火大会」は平成時代の幕開けとともに、地方創生のシンボルとして始まりました。

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▲「花火館」に展示されている第一回神明の花火大会のポスター

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▲花火玉の中の星(火薬)の詰め方

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▲明治時代の花火の許可申請等貴重な資料

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▲ずらりとならぶ歴代のポスターや玉の模型

 

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施設情報

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花火館

〒409-3606

山梨県西八代郡市川三郷町高田531-1

電話番号:055-272-0901

 

 令和元年の神明の花火大会でテーマファイヤーを担当する、齊木煙火本店の取材の中で、花火づくりの裏側を見せていただきました。 

▲①星(火薬)作り

▲②-1星詰め

▲②ー2星を丁寧に隙間を作らないよう詰めていく

▲③玉張り

▲④完成した玉(一尺玉)

 どの作業も花火づくりには欠かせない大切な作業ですが、星(火薬)づくり、星詰めについては打ち上げた際の形や色合いを左右するため、花火師の力量と感性が問われる作業だとのことです。

 何層にも火薬を塗り重ねる星の作り方で色の広がりも変わり、星の詰め方の工夫で見る人を感動させる花火になるといいます。

 そして今回特別見せていただいたのがこちら↓

▲ハートの花火

▲お化けの花火

 花火大会で見たことのあるハート形や星形の花火は、このようにして花火玉の中心に火薬が詰められているのです!

▲花火の大きさ左から〝2尺〟・〝1尺〟・〝5号〟(なお2尺は花火の模型です。)

▲齊木煙火本店の花火師の方々

 神明の花火大会で使われる一番大きな玉が2尺玉。その大きさは圧倒的です。

〇玉の大きさ :2尺…直径約60cm     1尺=10号…直径約30cm 5号…直径約15cm

〇打上がる高さ:2尺玉…約500m    1尺玉=約330m        5号玉…約190m 

〇花火の直径 :2尺玉…直径約480m  1尺玉=直径約320m        5号玉…直径約170m

 今年のテーマは、『世界に届け「神明の花火」平和への祈り 令和元年 ~美しき華、未来へ~』。

 30年間続いてきた神明の花火を未来へつなげていこうという大きなテーマを掲げ開催されます。神明の花火大会は三郡橋下流笛吹川河畔でスターマインや2尺玉を含め約2万発が打ち上げられ、約25万人を超える人が訪れる県下最大級の花火大会です。

 最初から見どころが沢山詰め込まれた花火大会ですが、プログラムの後半にテーマファイヤーとグランドフィナーレがあり大会のクライマックスを迎えます。今年はテーマファイヤーを齊木煙火本店、グランドフィナーレをマルゴーが担当します。今年はどのような花火が見られるのでしょうか。花火師の皆さんから話を聞きました。

 

【テーマファイヤー担当:齊木煙火本店】

▲齊木煙火本店 齊木克司社長

 「平成の始まりと共に歩んできた神明の花火は、今年令和元年となり第31回を迎える節目となりました。神明の花火といえば、鮮やかな花火と音楽の融合が特徴ですが、今、思い返してみれば平成の前半は比較的オーソドックスな花火を打ち上げていました。前半の10回位はまだプログラム花火までは進んでいませんでした。

 

▲数々の賞を取ってきた歴史あるトロフィー

 そこから段々と花火と音楽の融合をプログラミングで行うようになり、それとともに花火自体の色の変化も多種多様になって行きました。昭和の時代は、色が一化二化(※)という花火が一般的でしたが、徐々に多変多色(※)の花火が求められるようになり、そしてグラデーション(※)まで進化してきました。時代の変化を感じます。」と齊木社長。

 (※一化二化…色が一回変わる、二回変わること。 多変多色…色が数回変わること。 

   グラデーション…多変色しながら、全体として『色の移り変わり』が見られること。

▲同社 一瀬大営業企画部長

▲平成29年のテーマファイヤー

 齊木煙火本店の企画部長でプログラムを担当している一瀬大氏。

 「花火師の喜びは打ち上げた時に見られるお客さんの笑顔。実際に現場にいるときに笑顔が見られる訳ではありませんが、会場の熱気や歓声を聞いた時一番のやりがいを感じます。」

 「今年のテーマの〝美しき華を、未来へ〟。〝美しき華〟を多変色の花火で表現したいと考えております。そして過去からの経験の積み重ねで今年のアレンジを行いたいと思います。」

 「花火師は、打ち上げた時お客さんに喜んで貰えることが何よりですが、打ち上げた後に、次はこういった演出にしようといった気持ちが沸き上がります。」

 「〝未来へ〟今年は令和元年の花火。これからの世代に繋げるような花火を表現したいと考えています。」

 その言葉からは、一回の花火大会だけでなく、これから先の花火まで見据えた、熱い想いを感じることが出来ました。

 

【グランドフィナーレ担当:マルゴー】

▲マルゴー 齊木智(さとし)社長

▲平成29年のグランドフィナーレ

 「平成30年間を振り返ると、神明の花火を常に打ち上げの現場でみてきました。思えば、私は花火師として常に特等席でみてきたのだと感じます。打ち上げ場所から少し離れた有料観覧席から見る花火が間違いなく一番きれいに見えるでしょう。打ち上げの場所で花火を下から見上げると首が疲れますし、火の粉や煤(すす)が降り注ぎます。しかし、観客席から伝わる驚きの声や歓声、その雰囲気に包まれている時に喜びを感じます。まさに花火師にとっての特等席です。」

 -今年の花火は前回フィナーレを担当したときと比べてどうですか?見どころを教えてください-と尋ねたところ…

 「同じ花火は二度とないから、過去と比較してどうこうってことはないです。毎回が一つの作品で、そこに出せる最高のパフォーマンスを持ってきますので。勿論、一回一回の花火大会の積み重ねの中で、花火師は感性を高めています。今年も神明の花火を楽しみにしてください。」とのこと。

 

 花火は一発一発全てが心を込めた一つの作品なのだ、と改めて感じました。「同じ花火は二度とない。だから過去と比較してどうこうではない。」という言葉を聞いた時に、今年は絶対に現場で見たい、と感じました。令和元年「美しき華を、未来へ」の花火は、今年しか見られないのですから。

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【神明の花火大会】

日  時:8月7日(水)19:15~21:00

住  所:三郡橋下流笛吹河畔

アクセス:JR身延線「市川大門駅」より徒歩10分

詳  細:神明の花火大会HP(外部リンク)

 〝市川花火の里花火直売店はなびかん〟(詳細はコチラ)(外部リンク)で販売しているこだわりの花火〝市川神明牡丹〟を紹介します。 

▲有限会社タチカワ 立川 靖 代表取締役

▲店内に並ぶ数々のバラ売り花火

 そのこだわりは、こちら

〇江戸から伝わる市川三郷の手漉き和紙を使用。

〇市川團十郎ゆかりの三珠文化公園の牡丹で染色。

〇市川花火の伝統的な職人が魂を込めて手作り。

▲〝市川神明牡丹〟

 立川さんはこう話します。「〝市川神明牡丹〟は歌舞伎からも発想を得ており、神明牡丹には歌舞伎にもある〝起承転結〟がしっかり見られます。外国製の花火が増えてきていますが、日本製の花火はその光り方、火のもち方も全然違います。是非一度試していただきたいです。」。実際に私も体験してみました。まず第一に火の付き方が違います。上質な手漉き和紙を使っているせいか火の付き方が大変スムーズでストレスなく火が回ります。そして、段々と火の玉が出来上がっていきます。一番特徴的だったのが、やはり火花です。今まで経験した線香花火で経験したことのないような大きくそして力強く開く火花に心を奪われました。

 花火をしながら、立川さんの「〝起承転結〟がしっかり見られます。」という言葉がふと頭によぎりました。

〇ドキドキしながら火をつけるその瞬間が〝起〟

〇そして火が付き優しい花火から赤く輝く火の玉が出来ていく〝承〟

〇しばらく経つと急に火花が大きく開いた激しくなり目が離せなくなる〝転〟

〇そして段々と火花が落ち着き火の玉となり落ちていく〝結〟。

 いつしか外国製の輸入の花火が増え、知らないうちにそのメリハリを感じなくなっていたのかもしれないと思いました。〝市川神明牡丹〟の中には確かに、〝起承転結〟感じられました。また、線香花火は同じ燃え方ものは一つもなく、ものによって激しさが違ったり、落ち方が早かったり…。今年は、ご先祖さまや家族と一緒に日本製の手作り花火で一本一本の変化も楽しむ夏にしたいなと感じました。

 

 【関連リンク】

 こだわりの花火〝市川神明牡丹〟を販売している〝市川花火の里花火直売店はなびかん〟の経営者【有限会社タチカワ 代表取締役 立川 靖氏】のインタビュー記事

▲第30回の神明の花火大会①

▲第30回の神明の花火大会②

 神明の花火の町、市川三郷が歴史を刻み、そして育んだ花火師達。それぞれの想いを胸に毎日花火に向き合っています。一つの花火は一瞬ですが、その一瞬のために心を込めた花火。だからこそ儚くも美しく見る人を魅了するのでしょう。

 山梨県では花火師の想いが込められた花火大会が各地で開催されます。夜空に開く大輪の花を楽しみに、足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

 【その他の花火大会】詳細はコチラ 

 〇河口湖湖上祭  :8月4日(日)・5日(月)

 〇南部の火祭り  :8月15日(木)

 〇石和温泉花火大会:8月21日(水)…等々

 

  【富士の国やまなし親子花火大会】 手持ち花火を使ったイベントが開催されます。

 (外部リンク)

 

 

 

 

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