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更新日:2026年9月2日

流鏑馬祭り

左ききMr.フジヨシダ、斜め後ろからの偏愛富士吉田ガイド|第1回「小室浅間神社(下浅間)のやぶさめ祭り」の巻

富士吉田のまちをこよなく愛する“Mr.フジヨシダ”が、独自の視点でまちの魅力や面白ネタを紹介する連載企画がスタート!
第1回は、地元で「下浅間(しもせんげん)」と親しまれる小室浅間神社の「流鏑馬祭り」を、ちょっと斜め後ろからご案内します。

この記事を書いたのは・・・

MR.フジヨシダ

渡辺 一史(WATANABE Kazufumi)

1965年生まれ。富士吉田市在住。レトロ感あふれる月江寺通りにある「三吉屋呉服店」の5代目だが跡を継がず2020年にお店は廃業。母方の実家は1572年より20代続く「御師筒屋」で、富士山信仰を今も守りつないでいる。

Uターンしたものの商売も継がず遊び歩いていたが、長男が誕生し一緒にまちをお散歩していて路地裏にひそむまちと人々の魅力に気づいてしまう。2000年まち全体を美術館に見立てた「まちがミュージアム」を皮切りに、「富士吉田に映画館をつくる会」「路地裏の僕たち」「御山倶楽部」「霊峰富士と歩む会」などを立ち上げてはまちで遊びつくし、地元のおじさんおばさんたちから教えてもらった面白ネタを武器に“Mr.フジヨシダ”として富士吉田の魅力を伝えるまち歩きガイドを行っている。

第1回「小室浅間神社(下浅間)のやぶさめ祭り」の巻

「下吉田にある小室浅間神社」

今や押しも押されもせぬ有名観光地となった忠霊塔・本町二丁目交差点・下吉田駅から徒歩圏内にある神社ですが、木々に囲まれてさわやかに風が通り抜けていく境内はワイワイの喧騒から逃れられる一息スポット。

807年創建、下吉田地区の氏神さまとして下浅間(しもせんげん)と呼ばれ親しまれ、9月18日・19日に流鏑馬(やぶさめ)祭りが行われることで知られていますが、斜め後ろから眺めてみると面白ポイント盛りだくさんです。

下吉田地区の氏神様である小室浅間神社
下吉田地区の氏神様である小室浅間神社

御神馬も祀られています
御神馬も祀られています

 

「やぶさめ祭りと言えば」

さて、やぶさめと言えば武士が疾走する馬から的に向かって矢を放ち武芸をお披露目する、鎌倉・鶴岡八幡宮で行われている勇敢な姿が頭に浮かびますよね?

でも、下浅間のやぶさめは農耕馬を使って地元民が行う、どこか素朴な「なんちゃって」なやぶさめです。

馬に乗るのは地元の人たちで、練習開始は9月になってからとなると、いざ本番は人馬どちらも緊張感に満ちあふれ、馬上で手綱から手を離して矢を射るなんてムリムリ、馬も途中からトコトコ歩き始めてしまいます。

僕が子どものころには、勇気振り絞って弓矢を持った途端にドサっと落馬しちゃって病院へ直行!なんてこともありました。

住宅地の中の馬場を駆け抜けます
住宅地の中の馬場を駆け抜けます

馬場の長さは約180m
馬場の長さは約180m

神社と馬場をつなぐ流鏑馬橋はお祭り以外には取り外されてしまうんです!
神社と馬場をつなぐ流鏑馬橋はお祭り以外には取り外されてしまうんです!

馬が走るたびにしっかりお祓いします
馬が走るたびにしっかりお祓いします

18日の宵祭りから参道には屋台が並びます
18日の宵祭りから参道には屋台が並びます

消防団第9分団(本町中村)によるお神楽(獅子舞)が地区の各家を回ります
消防団第9分団(本町中村)によるお神楽(獅子舞)が地区の各家を回ります

「馬の足跡で占う、めちゃくちゃ当たる!みんな信じてる!」

じゃぁなんのためにやぶさめやってるの?って、800年以上続く理由がちゃ〜んとあるんです。

それは、馬場に残る馬が走った後の「足跡」を見て、来春までの地域の吉凶を占うため。

はてさて、どうして来春までの吉凶を占わなければならないのか?

なぜなら、下浅間の神様は、秋の収穫を見届けると、やぶさめで最後に走る「山王さん」に乗って富士山二合目に帰ってしまい、翌春の農作業が始まるまで下吉田の里にはいなくなってしまうので、神様があらかじめ不在の期間の吉凶を占っておくためなんです。

ええええ!じゃぁ初詣の時って下浅間に神様いないの?とかいろいろ考えちゃうのはさておいて…(笑)

馬場に残る馬のひづめ跡を見る占人(2021年)
馬場に残る馬のひづめ跡を見る占人(2021年)

占人は世襲により受け継がれていてます(2025年)
占人は世襲により受け継がれていてます(2025年)

やぶさめが終わると、各地区では「お日まち」という神事を行い、神様がいない間、「○○地区は10月下旬から12月中旬までの間は火事に気をつけなさい」というふうに占いの結果が伝えられるのですが‥‥これがめちゃくちゃ当たります!

2005年10月に自宅の隣が火事になったのですが、必死で消火作業にあたりながら「お日まちの占いが当たった!」とみんなが声を揃えて言ってたのを覚えています。

聞くところによると、「当たりすぎて怖い」と占いから抜けた地区があるのだとか。

 

「マジで伝統を守りつなぐ、変化しながらも守りつなぐ」

それほどに占いが当たってしまうのも、みんなが占いを本気で信じてるのも、やぶさめに関わっている人たちが、本気(マジ)でお祭りを守りつないでいるからこそですよね。

馬に関わる地元の有志、代々引き継がれてきた「占人」、神社の方々などなど、やぶさめに関わるすべての人たちが、神聖な祭事に参加するため他者との交流を避けて共同生活する「潔斎(けっさい)」を行っています。

かつては約3週間行われていましたが、生活環境が大きく変わった現在でもなお1週間続けています。

潔斎館
小室浅間神社境内にある潔斎館 ここで共同生活をして潔斎を行います

朝練
朝練 共同生活をしながら団結力を高めていきます

神馬舎
小室浅間神社境内の神馬舎では8頭の馬が大切に飼育されています

山王社奉幣使
やぶさめ奉納前日に小室浅間神社から山王社(天神社)に向かい祭礼を行います

しかし、このやぶさめも時代とともに変わろうとしています。

担い手は年々減少し、一時は存続の危機に追い込まれたこともありました。

しかし、「創業の祖となる神社への感謝を原点に、やぶさめの尊い伝統を次世代につないでいきたい」と、馬を守り育てる会社を立ち上げた地元事業者や、地方の伝統を守っていきたいと共感する若者移住者たちなどが、新しい文化を作ろうと取り組んでいます。

ここ数年は、若者たちが1年を通して積極的に馬に関わるようになったことで、祭りで人馬一体となって馬場を颯爽と駆け抜けていく姿が見られるようになりました。

疾走していく馬たち、その上に立ち、的めがけて矢を射る乗り手たち‥‥あぁ、なんたる変化、スゴい!

彼らは馬を活用した観光事業にも取り組んでいて、インバウンドや高付加価値化にも対応できる新たなコンテンツとして、今後の展開にも大いに期待が高まっています。

やぶさめ疾走
年間を通して神馬と関わっているので人馬一体となって馬場を疾走して行きます

関わる人たち
地域の人たちが伝統を守りつつ、新しい取り組みも始めています

「YABUSAME of the people, by the people, for the people」

馬を飼う人も、馬に乗る人も、お祭りを担う人も、神主さんも、そして占う人も、みんな地元の人。

「なんちゃって」なやぶさめは、地域の誇りによって地域を守ってくれる「本気(マジ)」なお祭りとして、800年もの伝統を守り継ぎ、さらに新しい進歩をとげようとしているのでした。

毎年18日・19日と日程が決まっているやぶさめ祭りですが、今年馬が走るのは19日の土曜日です。

ぜひ足を運んで、いろんな面白ポイントをチェックしてみてください!

流鏑馬祭り例祭

[ 会場 ]

冨士山下宮小室浅間神社

[ 開催日 ]

2026年9月18日(金)、19日(土)

※流鏑馬は19日(土)

[ スケジュール ]

■9月18日
10時00分 奉納馬による市内パレード
14時30分 富士山神輿渡御(西裏睦)など

■9月19日
10時00分 小室浅間神社例大祭
13時00分 役馬疾走馬蹄占

[ 住所 ]
山梨県富士吉田市下吉田3-32-18

[ アクセス ]
・富士急行線下吉田駅より徒歩約4分
・中央自動車道河口湖ICから約12分
・中央自動車道富士吉田西桂スマートICから約9分
・東富士五湖道路山中湖ICから約14分

 

【参考】流鏑馬祭り例祭|富士吉田市観光ガイド(外部リンク)

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