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更新日:2024年1月29日

若手いちご農家

若い力によって進化する山梨のいちごが今アツい!山梨で活躍する新進気鋭の若手いちご農家

桃とぶどうのイメージが強い山梨県。しかし、豊富な日照量と朝晩の寒暖差が激しい気候に恵まれた山梨県は、実はいちご栽培にも適した土地でもあります。
その山梨では今、若手のいちご農家が大活躍中!確かな知識と最先端の農業技術を駆使して生産される絶品いちごや、若手だからこその柔軟な発想で生み出される新しいアイデアは、SNSや口コミを中心に人気を集めています。
そんな今まさに進化中の山梨のいちごを栽培している若手いちご農家に、いちご栽培への想いやこだわりを教えていただきました。

目次

  • 木下晴登さん@アグベリー
    ―きっかけは“縁”。山梨の農業の力になるために
    ―日々変わるいちごと向かい合う
    ―“求められるいちご”が栽培できる農家て
  • 木之瀬翔さん・有香さん@苺屋あとりゑ
    ―研究職から飛び込んだ農業の世界
    ―いちごのプロフェッショナルだからこそ知る、いちごの“違い”
    ―自分たちで作る唯一無二の価値

 木下晴登さん@アグベリー

アグベリー木下さん

Q1. 働いているいちご農園は?

―南アルプス市西南湖にあるアグベリー

Q2. 年齢と出身地は?

―1996年生まれの27歳。静岡県出身の石川県育ち

Q3. 好きないちごの品種は?

―紅ほっぺ・スターナイト

Q4. いちご農家の魅力をひと言!

―子どもからお年寄りまでの幅広い世代の方が「美味しい!」と笑顔になってくれる姿が目の前で見られること

木下さん

静岡県生まれ石川県育ちで、以前は地元石川県でホテルマンとして働いていたという木下さん。

そんな山梨県にも農業にも接点がなかった木下さんが、南アルプス市でいちご栽培に携わることになったのは、アグベリーを運営するアグベル株式会社の代表取締役丸山桂佑氏との出会いがきっかけだったそう。

「前職は観光業界で働いていたのですが、新型コロナウイルス蔓延を期に業界全体が危機的状況に陥ってしまい、転職を余儀なくされました。丸山社長と出会ったのはちょうどその頃です。その時に山梨の農家さんたちが抱える高齢化問題や耕作放棄地問題の話を聞いて、自分も力になりたい!と思い、山梨までやってきました」

アグベリーのいちごハウス内

アグベル株式会社がメインで栽培しているのは、シャインマスカットをはじめとするぶどう。

その中で、木下さんはあえてスタートしたばかりのいちご狩り農園事業へ飛び込んだのだとか。

「アグベルにとって、いちご狩り農園は僕が入社する少し前にスタートしたばかりの新規事業でした。僕自身初めての農業。どうせなら新参者が新しい事業の門を叩いてみようと思って。その時は、まさかいちご栽培がこんなに奥深いものとは思っていませんでしたが 笑」

日々変わるいちごと向かい合う

木下さん

「最初はわからないことだらけだった」と語る木下さん。

これまで農業とは一切無縁の生活だったため、1年目はとにかくいちごについて学ぶ毎日だったそう。

「インターネットで調べたり、他のいちご農家さんに教えていただいたり、ひたすらいちご栽培に関する知識や経験を増やすのに必死でした。今はベテランのいちご農家さんにコンサルティングに入っていただき、実地の技術を学んでいるところです」

作業している様子

その甲斐あって、今ではすっかり立派ないちご生産者に。

日々いちごの生育に目を配り、変化や異変などを見逃さないことを大切にしていると木下さんは言います。

「毎日いちごの様子は違うので、それに合わせて水の量などを微調整しています。また、アグベリーでは『紅ほっぺ』『あきひめ』『やよいひめ』『スターナイト』の4種を栽培しているのですが、それぞれ栽培方法が違うので、品種に合った調整も必要になってきます。他のいちご農家さんにもアドバイスをもらうこともあるのですが、土地によって環境が違うので、結局はウチのハウスに合った方法を見つけるために自分自身で試行錯誤していますね」

“求められるいちご”が栽培できる生産者を目指して

いちご

生食、ケーキのトッピング、加工品など、さまざまな場面で活躍するいちご。

木下さんが目指すのは、そういった用途ごとに適したいちごを作ることができる生産者なのだとか。

「例えば、ケーキなら小さくて形が良く酸味を感じるいちご、生食なら完熟の甘みが強いいちごなど、シチュエーションによって求められるいちごは違います。いろいろな要望に答えられる生産者になることが今の目標です」。

 

若手いちご農家16

また、“いちご狩り農園”としてもさらに進化させていきたいと語る木下さん。

「アグベリーには、お客様に喜んでいただくために、スタッフみんなで意見を出し合い創意工夫しようという意識が根付いています。他のいちご狩り農園だといちご狩りができるレーンを制限するところもありますが、ウチではゆったり広々と楽しんでもらいたいという想いから、人数制限を少なめにして自由にいちご狩りを楽しんでいただくスタイルにしました。

フレッシュな完熟いちごが思う存分食べられるのがいちご狩り農園の魅力だと思うので、より快適に美味しいいちごを楽しんで頂くために、今後もホスピタリティをより充実していきたいと考えています」

「アグベリー」の詳細情報

アグベリー

中部横断道南アルプスICから車で10分。区画の制限なく、60分間食べ放題でいちごを味わうことができる。現在栽培しているのは「紅ほっぺ」「あきひめ」「やよいひめ」「スターナイト」の4品種。いちご狩りのほか、パックでの購入も可能(前日までの連絡が必要)。敷地内にはドッグランもあるので、愛犬連れも安心。

【住所】山梨県南アルプス市西南湖1077

【電話】080-7446-0107

【営業時間】10時00分~16時00分

【定休日】不定休

【期間】12月、2月~5月
 ※いずれも土・日・祝日のみ
 ※気候により期間は変動する可能性あり
 ※要事前予約

【公式ホームページ】https://agbell.co.jp/business/agberry/(外部リンク)

 木之瀬翔さん・有香さん@苺屋あとりゑ

木之瀬翔さん・有香さん@苺屋あとりゑ

Q1. 運営するいちご農園は?

―甲府市上曽根町にある苺屋あとりゑ

Q2. 年齢と出身地は?

―(翔さん)1997年生まれの27歳。甲府市出身
―(有香さん)1994年生まれの29歳。埼玉県出身

Q3. 好きないちごの品種は?

―(翔さん)全部!おすすめするならスターナイト
―(有香さん)ほしうらら

Q4. いちご農家の魅力をひと言!

―(翔さん)冬の寒い日もぬくぬく作業ができる
―(有香さん)他の果実と比べると重くて汚れる作業が少ない&夏にプライベートの時間が持てる

研究職から飛び込んだ農業の世界

苺屋あとりゑ

夫婦そろって大学で農業の研究に従事し、卒業後はいちごの開発・苗販売を行う民間の種苗会社へ。

若いながらに確かな知見と技術を持つ木之瀬さん夫妻が、満を持して『苺屋あとりゑ』を開業したのは2022年のこと。

「ひとくちに“いちご”と言っても、品種は数百あります。種苗会社時代に検品のために1日あたり20から30品種のいちごを食べていたのですが、1品種ずつ味が全然違うんですよ。これだけバリエーションがあることをぜひ消費者の方々にも知ってもらいたいと思ったのが、いちご狩り農園をやりたいと思った理由です」

ハウス内の様子

実は二人とも非農家出身。

農地や施設など何もバックグラウンドがない中、いちご狩り農園をスタートさせるためには大変な苦労と覚悟があったと言います。

「一番の難関は、やはり資金と設備の調達でしょうか。本来の風味を持ついちごを作るためには、温度管理や散水の量など細やかな調整が必要になってきますが、その手間を惜しまず最適な環境に保つためにはしっかりとした設備が欠かせません。しかし、そのためにはお金がかかるのが現実。方々調べて資金を調達したり、廃業する農家さんから資材を譲ってもらったり、DIYしたり、自分たちができる限りのことをやりました」

いちごのプロフェッショナルだからこそ知る、いちごの“違い”

作業中の木之瀬さんご夫妻

さまざまな苦難を乗り越え、ようやく夢を叶えたふたり。

いちご狩り農園としてオープンした今、『いちごのバリエーションを楽しんでもらいたい』という当初の想いを体現しています。

「今14品種のいちごを栽培していますが、“ひとつの農園内で複数の品種が食べ比べられる”というのがウチの最大の特徴です。農家さんによっては、特殊な作り方で“独自の味”に仕上げることもあるのですが、ウチではなるべくそれぞれの品種らしさが際立つ風味になるように、あえて特殊なことをしすぎないようにしています」

いちご

栽培するいちごの品種にもこだわったという木之瀬さん夫妻。

そのために試食したのは、なんと50品種以上にものぼるのだとか。

「“食べ比べてもらう”ということが前提にあったので、味や香りにエッジのある品種を選びました。例えば、同じ香りでも口に残る香りと鼻に抜ける香りとでは感じ方が異なります。そういったマニアックな部分も体感してもらいたくて。でも不思議なもので、検品で山盛り食べても次の日にはまた「いちご食べたい」って思えるんですよ。それくらいいちごって品種ごとに魅力が違うんです」

イラスト

開業して間もないながら、そのクオリティの高さからすでに県内外の飲食業界から注目を集めている木之瀬さん夫妻のいちご。

今後は「いちごの品質に付加価値を付けていきたい」と語ります。

「農業でも温度や水分管理の自動化といったAI化が進んでいます。そうなると、いずれ品質だけで差別化していくのは難しくなるでしょう。そんな時代で農家として始めたからには、機械や一般的な考えでは到達できないようなアイデアを形にしてやろう!と思っています。ちなみに、今考えているのは“アートな農家”。すでにアーティストとコラボしていちごの品種をモチーフにした作品を制作していただいているのですが、それをラベルにすることを計画しています」

木之瀬さんご夫妻

また、“いちご狩り農園”としても今までにない価値を模索している木之瀬さんご夫妻。

いちご狩りは、いちごを存分に堪能する機会であると同時に、思い出に残る家族の楽しいイベントでもあると考え、その時間をより快適に過ごせるようテーブル・椅子やフォトスポットも用意しているのだとか。

さらに、ハウス内で美食と音楽を楽しむイベント『ストロベリー イン ザ ナイト』を開催したり、ビバレッジディレクター(飲料の開発やプロジェクトの管理を行うプロ)と共同でいちごミルクやフローズンドリンクを開発しキッチンカーで販売を開始したりと、新しいアイデアを形にし続けています。

「プロダクト(生産)にとどまらない新しい試みにどんどんチャレンジしていきたいです。自分たちが納得できるクオリティでやっていきたいので大規模展開することはできませんが、これからも自分たちなりの“いちご狩り農園”を表現していきたいと思っています」

「苺屋あとりゑ」の詳細情報

苺屋あとりゑ入口

 

中道自動車道甲府南I.Cから車で5分。『かおり野』『スターナイト』『ゆきざくら』をはじめとする風味や見た目が異なる14品種を栽培する。いちご狩りのほかお取り寄せもでき、不定期で株オーナー制(1口5株で毎月2パック×5回発送)や定期便も実施。農園内や各地のイベントでは、いちごを使ったコールドドリンクも販売中。

※株オーナー制・定期便の実施のタイミングはホームページやインスタグラムを要確認

 

【住所】山梨県甲府市上曽根町4303

【電話】080-5101-6764

【営業時間】10時00分〜16時00分 (いちご狩り最終受付15時00分)

【定休日】火曜日

【期間】12月中旬~5月上旬 ( いちご狩りは生育状況次第)

【公式ホームページ】https://ichigoya.official.ec/(外部リンク)

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