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更新日:2022年6月15日
富士山北西麓に広がる青木ヶ原樹海は、約1200年前の富士山噴火で流れ出した溶岩流の上に形成された原生林です。樹海には洞穴など見どころが点在しています。今回は、知識豊富なネイチャーガイドの湯山智美さんに、おすすめの散策コースを案内していただき、親子で楽しめる自然豊かな樹海の魅力を紹介します。
西湖ネイチャセンター
↓ (5分)
西湖コウモリ穴 入洞(25分)
↓ (45分)
野鳥の水飲み場
↓ (35分)
竜宮洞穴(15分)
↓ (30分)
西湖ネイチャーセンター
所要時間:2時間30分 ※時間は目安です
今回の散策コースは、西湖ネイチャーセンターからスタート!受付で入洞料を支払い、ヘルメットを借ります。
樹海の中にトイレはありませんので、ここでトイレを済ませておくと安心です。ここから5分ほど歩いたところに西湖コウモリ穴があります。
緑豊かな樹海の遊歩道
樹海に足を踏み入れると、そこには富士山が作り出した幻想的な美しい森が広がり、鳥のさえずる声が聞こえてきます。
西湖コウモリ穴までの遊歩道には、ウッドチップが敷き詰められ、ふかふかと歩きやすくなっています。
ヒノキの倒木をチップにしたもの
富士山の噴火について解説するネイチャーガイドの湯山さん
樹海の大きな特徴は、厚くて硬い溶岩で覆われていること。富士山は3000年ぐらいの間に100回ほどの噴火がありましたが、最大の規模だと言われているのが西暦864年の貞観の大噴火。
大量の溶岩が富士山から流れ、もともとあった木々を焼き尽くし、そこに誕生した森が青木ヶ原樹海です。
何層にも重なったぶ厚い溶岩と、地表を這うように伸びている根っこ
「今いる場所から富士山はどの方向にあるか?」ガイドの湯山さんからクイズも
樹海の中から富士山は見えませんが、樹海は富士山の北西に約30km2広がっています。
看板発見!
階段を下りていくと...
コウモリ穴入口に到着!
中から見上げると幻想的な景色が
国指定天然記念物である西湖コウモリ穴は、総延長が350m以上あり、富士山麓の溶岩洞穴の中で最大の規模です。中に入ると空気がヒンヤリとして湿っぽいのですが、奥に入るにつれ少し暖かくなります。また、天井も低くなっていき、腰をかがめないと通り抜けられないような場所も。頭をぶつける可能性があるのでヘルメットは必ず装着しましょう。
天井の低いトンネル。この先には何があるのかな?
暗い洞穴の中でも、通路のライトが当たっている部分には苔が生えている
コウモリ穴の中は、天井から水が落ちてくるため、あちらこちらが濡れています。なぜ天井から水が落ちるのか?この水はどこから流れてきているのでしょうか?
答えは、雨水が厚い溶岩に染み込み、溶岩の細かい空洞を通って洞穴内に落ちるからなのです。
壁の表面はゴツゴツしている
「縄状溶岩」写真の奥の方から溶岩が流れてきたことがわかる
狭いトンネルを抜けると現れる「縄状溶岩」。溶岩が傾斜を流れる時、先に冷えて固まった表面部分がまだ柔らかい内側の溶岩に引っ張られ、凹凸ができます。この形が縄模様に似ていることから「縄状溶岩」と名前がつきました。
洞穴の奥はコウモリの保護区域となっており、これより先へは進めません。寝ているコウモリがいないか探しているところ
洞穴内の気温は年間を通して8~10℃。冬は暖かいためコウモリの冬眠場所となっています。キクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリ、ウサギコウモリ、テングコウモリ、モモジロコウモリの5種類が洞内で確認されています。
以前は多数のコウモリが生息していましたが、周囲の環境の変化により数が激減。コウモリの保護活動により徐々に数が増え、昨年12月に調査した際には、444頭のコキクガシラコウモリを確認できたそうです。
(※12月~3月中旬はコウモリの保護のため入洞できません。)
洞穴探検を満喫した後は、遊歩道に戻って樹海を散策!どんな動植物に出会えるでしょうか!?
#2へつづく
(取材・文/佐々木)
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施設情報 |
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