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更新日:2026年6月2日

ほたる祭り

光を取り戻した里山、笛吹市八代町「ほたる祭り」を支える物語

山梨県笛吹市八代町の稲山周辺にある四ッ沢川砂防公園。初夏の夜、この地域ではホタルが闇に淡い光を描きます。
毎年6月の第2土曜日から翌第3日曜日にかけて開催されるのが「ほたる祭り」です(今年は6月13日(土)から6月21日(日)までの開催を予定しています)。

ほたる祭りチラシ表

ほたる祭りチラシ裏

今では県内外から多くの人が訪れるイベントとなりましたが、その幻想的な風景は自然に残されたものではなく、地域住民たちの長年にわたる地道な努力によって『取り戻した光』だったのです。

ゼロからの出発 消えたホタルを取り戻す「銀河の会」の試行錯誤

地元住民によると、かつて八代町の稲山周辺では、四ッ沢川沿いを中心に多くのホタルが乱舞していたそうですが、河川改修工事など時代の流れとともに環境が大きく変わり、乱舞していたホタルは徐々に姿を消していきました。平成17年ごろ、「子どものころ見た景色をもう一度見たい」という思いから、地元有志による「稲山ほたる銀河の会」が結成されました。

『ホタルの光を取り戻す』。

言葉にするのは簡単ですが、実際には気の遠くなるような作業でした…。予算が乏しい銀河の会では、県外で有名なホタルイベントのようにホタルの成虫を購入し一斉に放流することはできません。そのため、銀河の会は、ホタルを卵から育てる方法を選択しました。ホタル1匹が産む卵は約500個。そのうち、実際に光を放ちながら飛ぶ成虫まで育つのは5パーセント未満です。少しでも多くのホタルを成虫まで育てたいという思いから、銀河の会は、ホタル生育のノウハウを得るため専門家へアドバイスを求めましたが、それを生業としている専門家が自身のノウハウを伝授してくれることはありませんでした…。銀河の会は、試行錯誤を繰り返し、原因を探りながらホタルの飼育方法を模索。そのような過程において、昨年からは、自然環境の中でより長い時間ホタルを育てたいという思いから、卵から孵化した幼虫を早い段階で四ッ沢川へ放流する方法へと変更しました。このように、目に見える成果がすぐに出るわけではない中で、会員たちは毎年ホタルと向き合い続けています。

稲山ほたる銀河の会による会合
稲山ほたる銀河の会による話合い

ほたる水路への放流の様子
ほたる水路への放流の状況

行政との連携 自然と調和する「ほたる水路」の誕生

地域の思いは、やがて行政をも動かしました。

平成20年ごろ、笛吹市は補助金を活用し四ッ沢川に「ほたる水路」を整備しました。この「ほたる水路」は、大雨でも影響を受けにくい構造、ホタルが生息しやすい水環境、人工的につくりながらも自然に近づけるための工夫が随所に盛り込まれています。水路中央には「ホタル石」と呼ばれる石のモニュメントも設置されました。これは河川改修工事で出た石を活用したもので、「ここがホタルの里である」という象徴でもあります。

ホタル石
ホタル石

ホタル水路に繁茂する「葦」
ホタル水路に繁茂する「葦」

美しい風景の裏側 環境管理の難しさと「担い手不足」の課題

華やかなイベントの裏側では銀河の会などによる関係者の地道な維持管理が続いています。

銀河の会の会員の多くは地元の農家です。農繁期と重なる夏場の草刈り作業は大きな負担となるため、一部はシルバー人材センターへ委託しています。特に近年の悩みが、水路に繁茂する「葦(よし)」の存在です。その葦を減らすために水路を大きく整備すれば、ホタルが住めなくなる可能性があり、自然環境を守りながら管理する難しさに毎年頭を悩ませている状況です。

そして、最大の課題は「担い手不足」です。銀河の会では、現在、農家以外の新たな会員の確保を目指しています。ホタルを守る活動は一夜で終わるイベントではなく、何年、何十年と続けていかなければならない地域活動だからこそ、新たな担い手の確保が重要となります。

地元及び関係者によるほたる祭りの準備の様子
地元及び関係者によるほたる祭りの準備の状況

ほたる祭りを楽しむために ホタルの生態と観賞のポイント

ホタルは、きれいな水がなければ生きることができません。つまり、ホタルが飛ぶ風景はその土地の自然環境と人の営みが守られている証でもあります。

自然の中で乱舞するホタルは、期間中必ずしも目にできる訳ではありません。成虫のホタルは水を飲んで生きるため、雨上がりや湿気の高い天候下で水を求めて活動し易くなるという傾向があります。なお、ホタルの活動には周期があり、20時~21頃に活動しやすく、逆に22時ごろになるとほとんど活動しなくなり、また23時を過ぎると再度活動をはじめます。

ホタルが飛ぶ風景
ホタルが飛ぶ風景

未来へつなぐ光 心のこもった手作りランプが照らす道

ホタルは光を嫌いますので、ホタル水路内の経路上には銀河の会が制作した温かく優しい光を発するランプが設置されます。その光を頼りに、暗闇の中で一つひとつのささやかなホタルの光を探してみてください。条件が良ければ、多くのホタルが飛び回る様に対面できることもあります。

笛吹市八代町の「ほたる祭り」は単なる観光イベントではなく、消えかけた自然を地域の人たちがもう一度取り戻そうとした物語です。そして、今もなお、その光を未来へつなぐための挑戦が続いています。

今年もまた、静かな山あいの里山に小さな光が舞い始めます。ぜひ一度足を運んでみてください。

(取材・文/中村) 

イベント情報

『ほたる祭り』

[日時]2026年6月13⽇(土)~21日(日)(20時~21時が見頃)

[会場]笛吹市八代ふるさと公園横の四ッ沢川砂防公園(Google Map

[入場料]無料

[駐車場]八代ふるさと公園各駐車場

[催し等]

・初日の6月13日(土)18時30分から、リニア展望台駐車場において開会行事を予定。

・祭り期間中の土日には、リニア展望台駐車場にキッチンカーを出店。

・祭り期間中の土日には、石和温泉郷に宿泊の方向けの無料送迎バスを運行。

▼イベントの詳細・最新情報はこちら

ふえふき観光ナビ(外部リンク)

▼公式SNS

Instagram:@fuefukicity(外部リンク)

主催 稲山ホタル銀河の会
共催 八代観光協会

お問い合わせ
(一社)笛吹市観光物産連盟 電話055-261-2829

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