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甲州ワイン伝道師によるコラム「甲州ワインの基礎知識」Vol.1

更新日:2020年7月21日

甲州ワイン伝道師によるコラム「甲州ワインの基礎知識」Vol.1

長年にわたり山梨ワインの振興に取り組み、「甲州ワイン伝道師」の異名を持つ当機構理事長・仲田道弘による『甲州ワイン』についてのコラムが始まります。これを読めばあなたも甲州ワイン通になれるかも!?全4回、隔週でお届けします。

(1)甲州ブドウはどこからきたのか

 

偶然というのは何%くらいの確率なのか。甲州ブドウほど偶然に満ちたものはないと思ってしまう。平成25年、(独)酒類総合研究所によって、甲州ブドウは欧州系品種が7割、中国系品種が3割のDNAを持つことが解析された。これで、これまで様々伝えられていた甲州ブドウ伝来の伝説が全部つながることになる。

 

トゲブドウ

甲州ブドウに似た”刺葡萄”(WIKI.ZHULONG.COM) 

 

 ブドウの誕生は古く約1000万年前には世界中に繁殖し、何度か繰り返された氷河期によって絶滅と再生を繰り返したという。最終氷河期が終わる1万年前には、西アジア、北米東部、東アジアの世界3か所にかろうじて生き残り繁殖を始める。今やメルローやシャルドネなどワイン用品種として世界に広がる欧州系品種は、西アジア種として黒海とカスピ海の間にあるコーカサス山脈の南側で氷河期を耐え忍んだのだ。

 

大アララト山と小アララト山

大アララト山と小アララト山。手前はアルメニアの葡萄畑
写真提供:駐日アルメニア大使館(グラント・ポゴシャン特命全権大使)

小アララト山

小アララト山(標高3,896メートル)は富士山そっくりの山

 

 そこから、西方面へは地中海を経てシーザーやローマ帝国、さらにはキリスト教などによってヨーロッパ各地に広まり、東方面へはシルクロードを通って中国にたどり着く。シルクロードの途中には動植物が自力では越えられないパミール山脈があるが、紀元前137年に漢の武帝に派遣された張騫がこの高原を越えて葡萄を運んだ記録が司馬遷の史記などに残されている。

 

司書による葡萄の産地「黄土に生まれた酒」花井四郎(東方書店)

司書による葡萄の産地「黄土に生まれた酒」花井四郎(東方書店)

 

 このブドウは、中国で1千年の時を過ごすなかで中国系品種のブドウと何度か交配し、甲州は誕生する。その後の奈良平安時代に日本に到着。なんと4千年の旅をしてたどり着いたのだ。国内では仏教の普及とともに全国各地に広がっていく。江戸時代の記録によると、ブドウの産地は京都、大坂、和歌山、静岡、山形などの12地域。そのうちの一つが甲斐国だった。品種名は付けられておらず、河内、聚楽、大宮など各地の名前が付けられていた。

 

甲州ぶどう

甲州ブドウ

 

明治になって外国の葡萄が日本で栽培されるようになると、元々あったこのブドウは何だということになる。明治14年、内務省の福羽逸人は山梨を視察して甲州葡萄栽培法を出版。意味とすると甲州での葡萄の栽培法だが、どうやらこれが甲州ブドウと呼ばれるきっかけになったと考えている。

 

 


【著者紹介】

甲州ワイン伝道師 仲田道弘
(公社)やまなし観光推進機構 理事長

山梨県庁入庁より、25年以上にわたりワイン産業の振興に携わり、「甲州ワイン伝道師」の異名を持つ。

また、グルメ漫画『美味しんぼ』の原作者・雁屋哲さんに甲州ワインの魅力を伝え、2001年に発行された『おいしんぼ 80巻 日本全県味巡り山梨編』に登場。

著書に、2018年『日本ワイン誕生考 知られざる明治期ワイン造りの全貌』、2020年8月25日には、明治時代14人のワイン関係者に焦点を当てた『日本ワインの夜明け~葡萄酒造りを拓く~』(株)創森社より発行。

甲州ワイン伝道師 仲田道弘

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