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更新日:2020年8月7日

七面山12

お寺に泊まる!敬慎院での参籠体験 (part 2)

part1の苦行のような登山を経てたどりついた「敬慎院」。ここでは朝晩の勤行に参加することを条件に宿泊(参籠)をすることが可能です。そして翌朝は日の出前に起床、富士山から昇るご来光を眺めます。毎年秋分・春分の日には、富士山頂から朝日が昇る『ダイヤモンド富士』を眺めることが出来ます。この日、ご来光の道は日本各地の聖地を結ぶレイラインとなり、七面大明神を祀る本堂にその光が届き、神秘的な現象が起こります。

敬慎院には「七面大明神」を祀る七面山本社を中心に、池大神社、願満社、参籠殿があります。敬慎院では1000名規模で宿泊をすることが出来ます。この立派なお堂は、なんと七面山で生育する木々を使って建てられたものではないのだそうです。つまりこの木材や資材も全て、山の麓から山頂まで運ばれてきたものなのです。ヘリコプターも重機もない時代に、職人さん達が登下山を繰り返し、このお堂を建てたのだと思うと、いかにこの地が古来より大切にされてきたのかが分かります。

敬慎院での「参籠」は、通常の宿泊とは違い、あくまでも修行の一環となりますので、宿泊に関しては敬慎院のルールに従う必要があります。まず夕食は17時。そして18時30分から御開帳、夕勤は19時スタートとなります。

夕食前にはお風呂を済ませ、登山の汗を流しておく必要がありますが、山の上に立つお堂ですので、自然環境を守るために、石鹸やシャンプーの使用は禁止。そして食事は全て精進料理です。野菜中心で素朴な味付けの料理ですが、この山の上でこれだけの温かい食事を頂けることに、ただただ感謝です。

そして夕食時にはお神酒もふるまわれます。登山で冷えた体を温めるためのお酒ですが、疲れた体にお酒が入っては、すぐに眠くなってしまいますので、これからの夕勤に支障がないように控えめに。

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▲夕食の精進料理

 

御開帳では「七面大明神像」を拝むことが出来ます。このご対面が許されるのは、ここまで登詣した人のみ。こうして無事に登詣出来たことに感謝すると共に、厳かな空気の中に佇む七面大明神様のお姿にしばし見とれてしまいます。

御開帳、夕勤の後、参籠が初めての方は宝物殿の見学ができます。宝物殿には、この地に伝えられている七面大明神の龍神伝説にまつわるものも展示されており、とても興味深いです。消灯は21時。登山の疲れをとり、早朝に起床する翌日に備えます。

 

ご来光の道 レイライン上に位置する七面山と敬慎院


翌朝は日の出前に起床。夏の期間は4時起床、4時30分からご来光または朝勤が始まります。

 

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▲ 逢拝所から眺める日の出前の富士山

 
この日は、随身門の前にある逢拝所にて、ご来光を眺めました。昨日は雲に隠れていた富士山が、今朝はくっきりと姿を見せて、眼下には雲海が広がり、次第に明るくなっていく空に浮かぶ富士山はとても幻想的でした。

この場所は、秋分・春分の日、富士山の頂上から朝日が昇る『ダイヤモンド富士』を眺めることが出来ます。この日に富士山頂から昇った太陽は、その後、随身門を経て、七面大明神が祀られる本社を神々しく照らすのだそうです。さらに、この太陽のラインは、上総一ノ宮玉前神社~富士山~七面山~伊吹山~元伊勢~出雲大社と、各地の聖地を結ぶ「レイライン」となります。GPSもない時代に、全て計算されたかのようにこのレイライン上に位置している七面山や敬慎院は、まぎれもなく本物の聖地と言えるのではないでしょうか。

七面大明神がお住いになる一ノ池

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▲ 七面山敬慎院にある一ノ池


敬慎院本社の裏手には、七面大明神の龍神様が姿を現すという一ノ池があります。

古来より一度も枯れたことがないというこの池も信仰の対象となっています。 池は、七面山を中心に7つあるといわれており、このうち、一ノ池、二ノ池は今でも七面山山中に訪ねることが出来ます。
敬慎院別当様の法話の中で「一ノ池は七面大明神がお住いになる御池です。昔は水が澄んで綺麗な池でしたが、ここ最近は温暖化の影響や、浄化槽の老朽化の影響を受けて、緑色に変わってきてしまった」と仰っており、神様が住む池をもう一度綺麗な状態に戻したいと、現在敬慎院では浄化槽の再建に取り掛かっているのだそうです。

下山前に、この一ノ池に立ち寄りました。別当様が太鼓を叩きながらお題目を唱えており、太鼓の響きが池と山に反響して、まるで池の中から龍の鳴き声がとどろいているかのように幻想的に響いていました。

七面大明神顕現の場所 七面山奥之院

敬慎院からさらに裏参道方面に15分程歩くと、「七面山奥之院」があります。

日蓮聖人ご入滅後、長年日蓮聖人の願いであった七面大明神をお祀りするため、弟子たちが七面山に登り、山頂付近の大きな岩の前に到着した時に七面大明神がお姿を現しになられたと言います。この岩は「影嚮石(ようごうせき)」と名付けられ、ここに七面大明神が祀られたのが「七面山奥之院」の始まりだと言われています。

 

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▲七面山奥之院 「影嚮石(ようごうせき)」

 

この影嚮石の周りを7周すると願いが叶うと言われています。

七面山奥之院でも参籠(宿泊)をすることが出来ます。詳細は電話で問合せください。

今年は新型コロナウィルスの影響で七面山への登詣者数も減っており、いつもより静かな夏を迎えています。ここは徒歩でしか辿り着けない聖地です。(実は私も3度目の正直でやっと登ることが出来ました。過去2回は台風で断念……)ここに来られる方々も何らかの強い思いがある方ばかりではないかと思います。

新型コロナウィルスがもたらした大きな時代の転換期の中で、この七面山での時間は、「自分と向き合う」「自然と向き合う」「神仏と向き合う」ということを密度濃く出来る場だと思います。『激しく回転する駒ほど、その中心部分はより安定している』と言います。今まさに世界は激動の時代の渦の中にいますが、その流れに振り回されるより、より安定したものを自分の内側に見つけ出すため、簡単には辿り着けない聖地である七面山を訪れてみてはいかがでしょうか。

 

Part1 苦行の先に到達する究極の聖地 七面山へ

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関連施設

七面山敬慎院

〒409-2524 山梨県南巨摩郡身延町身延4217-1

電話番号:0556-45-2551

1泊2食付 1名6,500円(御開帳料含) ※小学生未満は無料
(参籠のご予約はお電話で)

施設の詳細を見る(外部リンク)

七面山16

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関連施設

七面山奥之院

〒409-2732 山梨県南巨摩郡早川町角瀬

電話番号:0556-45-2125

宿泊費:大人6,000円/小学生以下 3,000円(開帳料、お風呂、夕食、朝食込み)

施設の詳細を見る(外部リンク)

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