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更新日:2020年8月7日

七面山top

苦行の先に到達する究極の聖地 七面山へ(part 1)

標高1989m、山梨県の南側に位置する日本二百名山の一つにも数えられる霊峰七面山。
ここは法華経信徒を守護する「七面大明神」を祀る山であり、修行の山として知られています。
毎年多くの方が登詣し、現代においてもここは徒歩でしか辿り着くことの出来ない聖地です。「苦行」の先に何があるのか?今回は七面山登詣の体験をご紹介いたします。

身延山地に扇状に佇む七面山は、日蓮宗の総本山として知られる身延山の裏鬼門に位置しており、日蓮聖人とのいわれが伝説として残っています。
その昔、日蓮聖人が説法をしていると、その聴衆の中に麗しい女性がおりました。他の信者の方々がその女性が誰かといぶかしげに思っていたので、日蓮聖人が本当の姿を皆に見せてあげるよう伝えると、その女性は「私は七面大明神。身延の山を守り、『南無妙法蓮華経』と唱える者たちを守護します」と言い残し、龍の姿となって七面山の方へと飛んで行ったという伝説があります。それから700年もの間、七面山は七面大明神を祀る山として法華経に帰依する多くの信徒が登詣する聖地として守られてきているのです。

 

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▲七面大明神の伝説を描いた絵

女人禁制を解いたのは徳川家側室「お萬の方」


七面山へ登詣するなら、羽衣登山口の程近くにある白糸の滝と「お萬の方」の像を最初に訪ねてみてください。この七面山は実は、長らく女人禁制の山でした。その女人禁制を解いたのは、江戸時代、徳川家康の側室であった「お萬の方」です。

もともと女人や畜生は成仏できないとされていた諸経の教えの中で、法華経は「皆成仏」を説いており、「南無妙法蓮華経を唱え法華経に帰依すれば誰でも成仏できる」と説いています。熱心な法華経の信徒であったお萬の方はこの七面山への登詣を強く望み、「女性が山に入ると山が汚れる」と言われていた当時、白糸の滝で7日間の滝行をして身を清めた後、衆僧の阻止をふりきり、初めて女性として七面山に登ったと伝えられています。それ以来、七面大明神の威光や霊験がますます広く響くようになったので登詣者が増加したという歴史があります。

今日、私たち女性が七面山に登ることが出来るのも、こうしたお萬の方様の強い信念と勇気ある行動のお蔭なのですね。

 

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▲白糸の滝とお萬の方の像

 

七面山羽衣登山口には滝行が出来る「白糸の滝」と「雄瀧」の2つの滝があります。「雄瀧」での滝行体験は下記の記事を参考にしてください。
https://www.yamanashi-kankou.jp/special/takigyo_2019.html

修行の山「七面山」に登るのは今も苦行 

修行の山として知られる七面山への登山は、今の時代においても決して簡単な道のりではありません。ロープーウェイもなく、標高差1500m近くある道のりを4~5時間をかけて登っていきます。高低差からすると、富士山五合目から山頂までと同じくらいあり、平地がなく、ひたすらに急な坂を登っていくため、決して甘くはありません。

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▲登山口付近の登山道

 

七面山の登山ルートは表参道と北参道の二つあり、今回は、表参道から登りました。参道は比較的整備されていますが、梅雨の時期は山蛭(やまびる)がいるため、足元の露出を控えるなど蛭対策が必要になります。

登山口から敬慎院までは全部で50丁(1丁は約109m)あり、各丁に石灯籠が建てられています。これを目安に敬慎院がある50丁目を目指します。個人差はありますが、登り始めてからだいたい10丁目辺りまでが一番きつく、頭ももうろうとするほど。本当に50丁まで辿り着けるかどうか不安でしたが、10丁目を過ぎた頃から、少しずつ体も山に慣れてきたのか、一歩一歩足を進めることに意識を向けることが出来た感じがしました。

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▲登山道に設置されている石灯籠 

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▲杉木立の中を歩く登山道

   
杉木立の中を行く登山道は景色が開ける所がなく、信徒の方は「南無妙法蓮華経」とお題目を唱え祈りながら登っていくのだそうです。法華経の信徒でなくとも、この道は黙々と自分の内側に意識を向けながら登る道であり、「祈りの道」「修行の道」であることが分かります。「まだか、まだか」と足を進め、ようやく45丁目辺りまでくると、また雰囲気が一気に変わってきます。

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▲46丁目「和光門」前

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▲「和光門」から先に続く登山道

46丁目にある「和光門」に到着。「やっと……きた」という思いと共に、霧が晴れて雲の隙間から光が差し込んできました。この先を登っていくと敬慎院です。ここから先は「七面大明神」様が住まわれているという場所。まるで到着を歓迎して下さったかのようなあまりにも神々しい光に、これまでの疲れも一気に吹き飛んでいきました。

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▲49丁目 随身門前の逢拝所 

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▲随身門

和光門を抜けてさらに進むと、49丁目にある「随身門」に到着です。随身門前には逢拝所があり、ここは天気が良ければ絶景の富士山を拝むことが出来ます。今回は残念ながら富士山は雲に隠れていましたが、目の前に広がる雲海を見ていると、なんとも言えない達成感がこみ上げてきます。

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▲随身門越しに眺める富士山

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▲随身門を抜けて敬慎院までの下り階段

   
そして富士山が見える日には、是非「随身門」の中から富士山を眺めてみてください。まるで鳥居の中に霊峰富士が収まっているようなここでしか見られない神聖な風景です。そして随身門をくぐると、目の前に今回の目的地である「敬慎院」が見えてきます。

「お寺に泊まる!敬慎院での参籠体験 (part 2)」へつづく

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