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甲州ワイン伝道師によるコラム「甲州ワインの基礎知識」Vol.4

更新日:2020年9月1日

甲州ワイン伝道師によるコラム「甲州ワインの基礎知識」Vol.4

長年にわたり山梨ワインの振興に取り組み、「甲州ワイン伝道師」の異名を持つ当機構理事長・仲田道弘による『甲州ワインの基礎知識』連載企画もいよいよ最終回。第4回は、世界に広がる甲州ワインについて。

(4)世界に広がる甲州ワイン

明治3年から造られ始めた甲州ワインは今年で150年の歴史を持つ。しかし、その歴史の中で輝き始めたのはわずか20年前のこと。和食との相性の良さを謳いながら、EUに輸出できる基準でワイン造りを進め、10年前、ついにロンドン市場に進出を始めた。


 2010年1月15日、ロンドンのトッテナム・コートにあるギャラリーで行われたテイスティング会。流通やメディアなど150人を上回るワインビジネス関係者が集まった。世界で最も影響力のあるジャンシス・ロビンソン女史が来場。全ての甲州ワインを試飲してくれた。


 彼女は「これからの食はヘルシーがトレンドとなる。日本料理もそうだが、フレンチもイタリアンも。ごてごてしたソースや油で味わいをつくるのではなく、素材のおいしさを引き出すことが重要。ワインもその流れに伴って素材に寄り添う軽い白ワインが注目される」と説明しながら、

「10年前なら甲州ワインは見向きもされませんでしたが、今こそ世界に打って出るときなのです」と言ったことが忘れられない。

 

第1回「KOJ」ロンドンプロモーション

 第1回「KOJ(Koshu of Japan)」ロンドンプロモーション
(写真右:ジャンシス・ロビンソン女史)

 

第1回「KOJ」ロンドンプロモーションの様子

同会場内の様子


 長い間、甲州ブドウは日本オリジナルで、糖度が上がらない上に香りやボディもなく水っぽいと言われ、ワイン用としては「中の下」という位置づけに甘んじてきた。

しかし、その伝来をたどると、欧州系の葡萄を源流に持ちながらアジアの気候に合わせて生き残るため中国野生種との自然交配が行われたブドウであった。


 「なんだ純粋ではないのか」と言う方もいるかと思うが、もし仮に欧州種がそのまま日本に入ったとすれば、1千年の歴史の中で消滅してしまった可能性は極めて高いと言わざるを得ない。

日本においてそのまま育てるには糖度か高すぎ、病気にやられてしまうのだ。誤解を恐れずに言うと、野生種との交配があったからこそ甲州ブドウは今日まで生き残ったと言える。

 

甲州ぶどう

甲州ブドウ


 そんな甲州ワインだが、和食との相性で言えば「中の下」という評価がシャルドネなどに対して逆転することも分かった。

こんにちでは、EUを中心に世界20か国に輸出され、甲州ブドウもドイツやオーストラリアでも栽培され始めた。食のトレンドと合わせて甲州の世界進出は広がりを見せ始めている。

 

ボルドー ワイン博物館

ボルドー ワイン博物館「La Cité du Vin(シテ・デュ・ヴァン)」でも
甲州ブドウ、甲州ワインが紹介されている

 

 

ボルドー ワイン博物館

富士山の麓のワイン産地として山梨を紹介

甲州ブドウ

世界の伝統的なブドウ品種として甲州ブドウを紹介

 

「甲州ワインの基礎知識」全4回 【完】。

 

 


【著者紹介】

甲州ワイン伝道師 仲田道弘
(公社)やまなし観光推進機構 理事長

山梨県庁入庁より、25年以上にわたりワイン産業の振興に携わり、「甲州ワイン伝道師」の異名を持つ。

また、グルメ漫画『美味しんぼ』の原作者・雁屋哲さんに甲州ワインの魅力を伝え、2001年に発行された『おいしんぼ 80巻 日本全県味巡り山梨編』に登場。

著書に、2018年『日本ワイン誕生考 知られざる明治期ワイン造りの全貌』、2020年8月25日には、明治時代14人のワイン関係者に焦点を当てた『日本ワインの夜明け~葡萄酒造りを拓く~』(株)創森社より発行。

甲州ワイン伝道師 仲田道弘

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