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更新日:2020年1月29日

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「辛口のぬる燗」にこだわり抜いた山梨の地酒「春鶯囀(しゅんのうてん)」

「春鶯囀」の銘柄で知られる「萬屋醸造店(よろずやじょうぞうてん)」。1790年に創業し、今年でちょうど創業230年を迎えます。昨年に社長が交代し、杜氏も代替わりしました。2020年、干支は庚子(かのえね)。十二支が廻って1番目の干支であり、始まりの年を意味する今年、創業230年の節目を迎え新しいスタートを切った「春鶯囀」をご紹介いたします。

新生「春鶯囀」が目指す酒

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▲昨年10月、新たに「株式会社萬屋醸造店」の取締役社長に就任した玉川浩司さん。

 「春鶯囀」が得意としているのは、純米大吟醸のような甘いフルーティーなお酒ではなく、しっかりとした辛口の純米酒。その酒質にこだわっていきたいと考えています。

 今の時代は、冷でも燗でも常温でも良いというお酒が多くありますが、春鶯囀が目指しているのは、ぬる燗(40~45度くらい)で美味しいお酒。もともと燗酒向きのお酒を代々作ってきているので、さらにそこに磨きをかけて、家でゆったりと、おでんや鍋物を食べながらお酒を飲むシチュエーションで一番合う日本酒。ぬる燗で飲むお酒として一番支持される酒を造りたいという想いを語っていただきました。
熱すぎると香りが飛んでしまうので、ぬる燗が特にお勧めだそうです。

「万人受けする酒ではなく、特定の方に突き刺さる酒を造りたい」、そのスピリットは代替わりをした今でも受け継がれています。

 もともと「春鶯囀」は、地元の米を使って、地元の人たちに愛され、地元の食材に合わせて飲んでもらえるお酒を目指して造ってきました。そのため、地元の飲み屋さんに行けば、どこでも「春鶯囀」が飲める、地元の人たちにも気軽に酒蔵やギャラリーに遊びに来て欲しい、地元に根差した酒蔵になりたいという思いがあります。

 

 

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▲「萬屋醸造店」内に設置された「酒蔵ギャラリー 六斎」。カフェも併設されており、「春鶯囀」のお酒も販売しています。

 

 

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▲「春鶯囀」の杜氏を務める芦沢祥行さん。

 昨年、前任の杜氏から代替わりをし、この冬の仕込みでは「春鶯囀」の酒造りに初めて杜氏として携わりました。今回は、前任の杜氏が長年してきたことを自分自身が理解しているかどうか、それをお酒として表現できているかどうかを見る時であると語ります。

地元産米へのこだわり

 「萬屋醸造店」の蔵で働く方々は、夏は「春鶯囀」の原料となる酒造好適米などを造っている生産者の方々です。米を知り尽くした人たちが、酒造りをしています。
地元の米にこだわっている「春鶯囀」ならではと言えますが、他の地域で育った米より、その地で、その水で育った米の方が、「春鶯囀」の酒には相性がよいと考えているそうです。
また、米の生産者だからこそ米の特性をよく理解しており、その生産者も酒蔵を理解することにより、より良い酒米が造れると考えているのだそうです。

 「春鶯囀」のお酒では、「玉栄」、「山田錦」、「吟のさと」、「美山錦」などの酒造好適米が使われています。「玉栄」は固めで米の旨味がしっかりと出る米であり、ぬる燗で食事に合わせやすいお酒として「春鶯囀」の目指すコンセプトを一番表現できるお米です。
「春鶯囀」の定番のお酒ではこの「玉栄」が主に使われています。

 今年は異常気象の影響で米の収穫量も少なく、例年に比べて固いお米が多く溶けにくいようです。年々気温も上がり、米の適地も変わってきていて、5年前と今の「玉栄」を比較すると、やはり米の質も変わってきています。これは米の生産者が一緒に酒造りをしているからこそ分かる部分かもしれませんが、時代や気候はどんどん変わっていくので、いつまでも昔の方法にこだわっていくのではなく、その変化の中で何が一番良いのか考えていく必要があると、芦沢さんは語ります。

「春鶯囀」の酒造り

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▲「春鶯囀」では精米も自社で行っています。

通常の飯米の場合は玄米を1割くらい削りますが、日本酒の場合は米の3割から6割を削ります。

1回に1200kgの米を精米できる酒米専用の精米機は、通常の飯米程度の精米であれば30分前後で終わるのに対して、大吟醸のように40%まで米を削る場合は、精米に約72時間かかるのだそうです。摩擦により米の水分が失われ固くなるので、削るほどより時間がかかります。

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大吟醸の場合は洗米も手洗いで行います。

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麹室を見せていただきました。
酒質に応じて麹菌を選択し、菌を米にどう生やすかを頭に描き、それにより温度や湿度、手を入れるタイミングなど細かく管理しています。

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酒を仕込んでいると、麹菌や酵母が元気になったりおとなしくなったり、機嫌がよかったり悪かったり、状態は日々異なり生き物であることを実感すると言います。仕込みの間は、杜氏の芦沢さんは蔵に泊まり込みで酒を見ているそうです。杜氏にとっては、気が抜けない時期でもあります。
今までの「春鶯囀」のファンの方たちにはより満足していただき、新たなファンを得られるような酒造りにもチャレンジしたいと語る芦沢さん。今年の酒の出来については、上品な旨味のある味わいになっているそうです。

まだまだ寒い冬は続きます。寒い夜はあつあつの鍋を囲みながら、ぬる燗の「春鶯囀」で温まるのはいかがでしょうか?

施設情報

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株式会社萬屋醸造店

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〒400-0501
山梨県南巨摩郡富士川町青柳町1202-1

TEL 0556-22-2103

施設の詳細を見る(外部リンク)

商品紹介

 

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「春鶯囀」の銘柄で知られる「萬屋醸造店」は230年以上もの歴史があります。2019年秋に、社長が交代し、杜氏も代替わりしました。新生「春鶯囀」は、しっかりとした辛口の純米酒で、ぬる燗で飲むお酒として一番支持される酒を目指しています。

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