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更新日:2016年3月11日

武田家と真田信繁(幸村)~「日ノ本一の兵」の赤いルーツを探る~信玄公祭り編

2016年のNHK大河ドラマは「真田丸」。主人公の真田信繁(幸村)は、祖父の真田幸隆の代から武田信玄に仕え、父・昌幸も武田家の家臣であり、武田家とゆかりのある人物です。この武田家と真田家の関わり合いや両家にゆかりのある山梨県の観光スポットなどを5回にわたって紹介します。
第4回目は、毎年甲府で開催される「信玄公祭り」のについて紹介します。

戦国の時がよみがえる信玄公祭り

繰り広げられる一大戦国絵巻!真田隊もいざ出陣!!

山梨が誇る戦国武将・武田信玄公の館跡である武田神社の桜が美しく咲き誇る4月、甲府盆地では、信玄公と武田二十四将からなる甲州軍団が壮大な一大戦国絵巻を繰り広げる「信玄公祭り」が開催される。
山梨県では信玄公の命日である4月12日を中心に、県内各地で武田家を偲ぶさまざまな祭りが行われている。なかでも命日の直前の週末に行われる「信玄公祭り・甲州軍団出陣」は、全国各地から多くの観光客が訪れる人気の祭りだ。宿敵上杉謙信と戦うため川中島の合戦へ出陣した甲州軍団の勇姿を再現し、まるで戦国時代にタイムスリップしたかのような迫力だ。
舞鶴城公園に集結した信玄公と武田二十四将は、出陣の儀式である三献の儀を執り行い、「風」「林」「火」「山」の各軍団とともに街中へと出陣!その鎧姿の軍勢は1,000人にものぼり、「侍の最大集合記録」としてギネス世界記録に認定されている。
出陣する軍団の中には、信玄とその跡を継いだ勝頼に仕えた真田氏の隊もある。真田信繁の祖父である「真田弾正忠幸隆」と、信繁の叔父である「真田源太左衛門尉信綱」の隊だ。
幸隆は上野国経略に取り組み、岩櫃城や白井城などを攻略し、武田氏の上野国西部制圧を確実なものにした。また信綱は、父幸隆とともに白井城を攻略したほか、信玄晩年の合戦にほとんど参加し、三方ヶ原の戦いにおける戦功はめざましかった。さらに長篠の戦いでは勝頼を逃すために弟の昌輝とともに奮闘した。
幸隆の智略と功績は信玄に高く評価され、武田家中でも一目置かれていたといわれている。また信綱は信玄に将来を嘱望されるほどの豪勇の持ち主だったという。信繁にはそんな2人の血がしっかりと受け継がれていたのだろう。
ちなみに信繁の通り名は源二郎で、のちに与えられた官職名は左衛門佐(さえもんのすけ)だった。「左衛門」という官名は叔父の信綱と同じであり、信繁に「左衛門」を名乗らせていたのは、信綱のように剛勇になってほしいという父・昌幸(信綱の弟)の期待があったといわれている。

第45回信玄公祭り:2016年4月8日(金)~10日(日)に開催
今回の信玄公祭りは、信玄公役に俳優の陣内孝則さん、勘助役には同じく俳優の川口真五さんをお迎えし、勇壮な武者姿による甲州軍団出陣がお楽しみいただけます。


勇壮な武者行列(信玄公祭り)

武田家滅亡後も引っ張りだこだった武田遺臣!?


甲斐大和駅の武田勝頼の銅像

戦国最強武将といわれた武田信玄が率いた武田軍の遺臣たちは、武勇と知略に優れた者が多く、武田家滅亡後は各地の大名から士官の誘いがあり、全国へ散っていったという。「武田遺臣は孫の代ぐらいまで、誰の子孫でどこにいるのかなど把握されていたといわれている。まさに“武田ブランド”だった」と平山優氏。

信繁の最期にも、武田遺臣が関わっていた!?

 

真田信繁(上田市立博物館所蔵)

武田家滅亡後、全国に散っていった武田遺臣だが、真田信繁の首を獲ったのも、実は武田の生き残りだといわれている。大阪夏の陣で、西尾仁佐衛門という武士が馬に乗った立派な武者に出くわした。西尾は勝負を挑み、激闘の末、兜を着けたままの武者の首を切り陣屋に持ち帰った。そこにやってきた同僚の羽中田兄弟はこの首を見て驚き、涙を流したという。羽中田兄弟はかつて真田家に仕えていたため、信繁を知っていたのである。そして信繁を討った西尾もまた、かつて武田の遺臣だったのだ。

戦国時代の保存食“兵糧丸”を食べられる!?


武田兵糧丸

戦国時代、武将が戦場で食べていたとされる携帯用保存食の兵糧丸。山梨県にはその兵糧丸をイメージした創作菓子がある。その名も“武田兵糧丸”だ。武田研究の第一人者として知られる歴史家でこのコラムの監修も行っている平山優氏のアイデアを基に、山梨県の菓子工業組合が製作し、県内の菓子メーカーがオリジナルの“武田兵糧丸”を開発、販売している。地元の食材を使った各店自慢の兵糧丸は、一度食べたらクセになるおいしさ!信玄公祭りでも舞鶴城公園内の「賑わい城下町」の一角で販売しているので、ぜひご賞味あれ。

春の甲府盆地は“甲州戦国絵巻”を満喫できる祭りがいっぱい!

4月の甲府盆地では、甲州軍団出陣だけでなく、各地でさまざまな“甲州戦国絵巻”が繰り広げられる。4月17日に開催される春の武田の里まつり「お新府さん」は、武田家最後の本拠地であった新府城跡にある藤武神社の祭典で、神輿や神楽の奉納が行われる。
また4月24日には、武田勝頼が最期を迎えた地の甲州市で、武田一族の遺徳を現代に伝える「甲州市ふるさと武田勝頼公祭り」が行われる。勝頼公と嫡子信勝、北条夫人を中心とした勝頼公出陣絵巻が披露され、甲斐天目山勝頼公太鼓、巫女の舞なども行われる。
ほかにも各地でその土地ならではの武田家ゆかりの祭りなどを開催。甲州戦国絵巻を存分に堪能できる。

武田24武将騎馬行列(甲府市) 4/12(火)
恵林寺信玄公忌(甲州市) 4/12(火)
川中島合戦戦国絵巻(笛吹市) 4/17(日)
甲斐の勝山やぶさめ祭り(富士河口湖町) 4/29(金・祝)


新府藤武神社祭典「お新府さん」


甲州市ふるさと武田勝頼公祭り

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