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更新日:2019年11月1日

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個性溢れるワインが生まれるワイナリー「東晨洋酒株式会社」

~この地の仲間が育てる葡萄を使用。そうした葡萄そのものの最終形が私のワイン!~
山梨県山梨市にある「東晨洋酒株式会社」は、個性的なワインを造るワイナリーとして知られています。
昭和38年に創業し、もともとは今の代表である田草川 和仁さんのお父様の時代、地元の日川高校の卒業生が数名集まって、立ち上げたのが「東晨洋酒」の前身です。
それぞれが葡萄農家だったこともあり、自分達で育てた葡萄を使って、好きなワインを造ってみんなで飲めれば良いという思いでワイン造りをはじめたそうです。代が変わってもその精神は残っており、今でも田草川社長の高校の恩師、地元の同級生、お世話になっている農家さんなどで育てられた葡萄を使ってワイン造りをしています。
「この地で仲間が育てる葡萄」にこだわりワイン造りを続ける「東晨洋酒株式会社」に今回お話しを伺ってきました。

 

「決してスマートではない 武骨な男の造る 武骨な葡萄酒たち」

これは「東晨洋酒」が掲げているキャッチコピーです。

東晨洋酒株式会社の代表取締役であり、醸造責任者でもある田草川さんは地元の強豪校である日川高校ラグビー部出身のラガーマンです。実際に取材に伺った時は、ラグビーワールドカップ日本代表快進撃の熱が冷めやらぬ頃で、店内にもラグビー関連のポスターが張られておりました。この雰囲気の中でお話を伺っていたので、このフレーズを聞いたときは、このワイナリーで作られるワインはどこか男っぽい雄々しいワインなのかとイメージしておりました。
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                                                 東晨洋酒株式会社 代表取締役・醸造責任者 田草川 和仁さん

このコピーにはどのような思いが込められているのか尋ねてみたところ、「ワインは農産物の最終形態。農産物は天候に左右され、毎年同じものは作れないと思っている。決して『こういうワインがつくりたい!』というのではなく、こういう葡萄が出来たので、どういうワインになるか、そういう思いで造っている」、そう田草川さんは答えてくださいました。

料理で例えるならば、こういう料理を作りたいというイメージが先にあって、そこから材料をそろえて、調理方法を考えるという料理もあれば、冷蔵庫の中を見て、今ある材料から何を作るかを決める料理もあります。「東晨洋酒」が造るワインはその後者のイメージに近いそうです。

ここ数年続く異常気象。今年は山梨県でも春先に気温が下がり、梅雨も長く日照時間が短い傾向にありました。そのため赤ワインの材料となる黒葡萄の生育にも影響があり、着色不良や糖度不足が発生したのだそうです。最近では気候の変動が大きく、前年のデータが役に立たないことも多いのだとか。
大手のワイナリーであれば、より良く安定した葡萄を求めて、栽培地をより北へ、より山の上へと移動していますが、東晨洋酒はあくまでも「この地の仲間がこの地で育てた葡萄からワインを造る」、そこに重きを置いているのです。
「気候がどんどん変わっていくなら、その中で出来るものを大事にしたい、そこから個性のあるワインを作れれば面白いのではないか」、と田草川さんは考えているそうです。

東晨洋酒の中に見る地元のワイン

今年、山梨県は「ワイン県」宣言をいたしました。
山梨県は、日本ワイン発祥の地であり、その生産量もワイナリー数も日本一を誇ります。
名実ともにワインの名産地である山梨県ですが、もともと山梨では「ワイン」というより「葡萄酒」の文化が色濃くありました。

「ワイン」と聞くとワイングラスに注いで、香りや味を楽しみながら語り合い、ちょっと小洒落て飲むイメージがありますが、山梨では元々「葡萄酒」として自家消費用で造っていたこともあったと聞いたこともあります。
その際、「甲州」や「デラウェア」で造ったワインも、野生酵母で自然発酵させ、酸化防止剤を入れずに仕込んでいたので、白ワインでも色が茶色くなり、酸化していて、アルコール度数も高く、甘酸っぱくて、美味しいとは言えない味であることも多々あったとか。
そのため、山梨の「葡萄酒」は小洒落て飲むものではなく、一升瓶に入れて炬燵に入りながら煎餅片手に湯呑で飲むような、日常の生活に根差したお酒でもあったそうです。

地元では、昔は亡くなった方がお酒好きであれば、ワインの入った一升瓶を故人に抱かせて土葬をしたこともあったそうです。次に亡くなった方を土葬するとき、墓を掘ると土の中からその一升瓶が出てきて、そのワインは墓堀の特権で掘った人のものになったのだそうです。それが格別に美味しいという言い伝えもあるほどです。

地元の葡萄にこだわり、昔ながらの製法で作られる「東晨洋酒」のワインには、どこか昔の地元流のいわゆる「葡萄酒」の持つ特徴や要素が入っているように感じます。

東晨洋酒のワイン“野生派ワイン”

通常ワインの醸造工程の中では、ワインを冷却処理して「酒石」を取り除いてから瓶詰をする工程が一般的ですが、東晨洋酒では冷却処理をせず、「酒石」が入った状態で瓶詰をしています。

 

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▲ワインの中を舞っている白い物質が「酒石」です。

 

「酒石」とはブドウ由来の有機酸である酒石酸と、ミネラルであるカリウムが結びついて発生したものです。ワインに酒石が発生するということは、素晴らしい酸味を含んでいる良質なワインの証拠なので、ヨーロッパでは「ワインのダイヤモンド」と呼ばれ歓迎されるものですが、日本ではガラスのように見えたり、カビと勘違いされクレームの対象となるので、不純物として取り除かれることが多いそうです。
東晨洋酒のワインには、目視でもはっきりと確認できる位、この「酒石」が入っております。

最近では、日本でもこの「酒石」を認識している人も増え、むしろそれが面白いというポジティブな意見も増えてきています。

また東晨洋酒のワインはほとんどが辛口に仕上げられています。
ワインの甘口、辛口というのは、ワインの中の糖分がどれだけ残っているかで決まります。
元々葡萄が持っている甘さを基準にして、果汁糖度が低い場合は必然的にアルコール度数も低くなり、その場合は求めるアルコール度数に対して「補糖」をすることが出来ます。
しかしこの「補糖」にも上限があるため、甘口にしようとする場合はワインの中の糖度を残す必要があるため、アルコール度数が低くなってしまうのです。ここではアルコール度数を下げるまで甘口にすることはありません。
 

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▲今年の「甲州」の醸造過程を見せていただきました。
発酵が進み、炭酸ガスがシュワシュワ出ていて、辺りには爽やかな柑橘系の白ワインの香りが漂います。

また、東晨洋酒の赤ワインは酸化防止剤を入れずに無添加のワインを造っています。
白ワインの場合、酸化して色が変わってしまうので、完全な無添加は難しいとのことですが、赤ワインの場合はより色が濃くなっていくのだそうです。
「酸化」と聞くととても悪いイメージありますが、ワインの場合は酸化することによって味がより丸くなったりすることもあり、酸化した味を好む人もいます。
酸化防止剤が入っていないワインは、抜栓したらすぐに飲み切らないと味が落ちてしまうのではないかと思われますが、抜栓してから3日位置いたワインの方が香りが立ち、酸味が丸くなり、開けてすぐよりも飲みやすい味になっていて美味しく感じるのだそうです。

ワイン造りにおいて、今後挑戦したいことを伺ったところ、「マスカット・ベーリーA」の可能性をもっと引き出すワインが造りたいとのことでした。
マスカット・ベーリーAは甘くて軽いというイメージがあり、重さや豊かな味わいを出すのが難しい品種ではありますが、そこをしっかり出すことが出来ればもっと発展できるのではないかと田草川さんは考えているようです。マスカット・ベーリーAにはまだまだ奥に秘めた可能性があるようです。その特徴や個性をもっと引き出す栽培方法や仕込み方を現在模索しているのだとか。

昔の葡萄は粒が小さく皮が厚く、食べる所がほとんどなかったと言います。
今の葡萄は品種改良されて、粒が大きく皮が薄く、味が良くなってきて食べやすくなっていますが、ワイン用の葡萄として考えた場合、それは決して良いことではないそうです。
葡萄の皮が薄くなるということは、赤ワインに必要な成分も薄くなるということ。
そうすると出来上がったワインが軽いワインになってしまうのだそうです。

気候が変わっていくのであれば、その気候に合った葡萄を育てていかないと良いワインは出来ない。しかし良いワインとは何なのか?

「評価されるワインよりも、楽しんでもらえるワインを」

「どんな飲み方がお勧めですか?」そんな質問を投げかけてみたところ、「どんなシチュエーションでも飲んでもらえる、こういう料理に合わせて欲しいとか、こういう飲み方をして欲しいとか、そういうものはなく、寒い時にはホットにしても良いし、暑い時には冷やして飲んでも良い、型にはめる必要はないと考えている。」そんな答えが返ってきました。

「これが正しい」とか「これが良いワインだ」という概念を強く持っている人にすると、東晨洋酒のワインは型破りな味だと感じるかもしれませんし、今までは消費者もそういうワインを敬遠する傾向にあったのでしょうか。しかし現在は小規模ワイナリーが増え、個性的なワインが世に出始めてきて、多様性が認められる時代になったため、この個性を面白いと感じる人も増えてきているとのこと。

社長自らが、葡萄畑で畑仕事をしながら、出来上がった葡萄に触れてみて、この葡萄ではこういうワインを造ってみようと思いワインの仕込みをするそうで、ネーミングも大体その時に思いつくのだとか。
その年に採れた葡萄の個性を活かして醸造されたワインは、その時しか味わえないものがほとんどです。

 

「決してスマートではない 武骨な男の造る 武骨な葡萄酒たち」

 

 

あえて「葡萄酒」という言葉を使っているのも、この地の仲間が育てた葡萄で造られた、生活に根差し気軽に楽しく飲んでもらえるお酒、そういう思いの現れなのかもしれませんね。

 

「東晨洋酒」のワインはどこか温かい人間味を感じさせてくれます。
ネットショップでも購入できますし、山梨県内のスーパーなどでも取り扱っているお店もありますが、もしお近くにお越しの際は、ぜひ「東晨洋酒」に来て、醸造家でもある田草川さんの人柄に触れていただくと、よりそのワインの特徴が感じられるのではないかと思います。

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ここでワインを購入すると、こんな可愛い手作りの袋に入れてくれました。
子供の頃、お母さんが縫ってくれた巾着袋のような、どこか懐かしい温かみを感じられますね。

日本国有のぶどう品種である「甲州」と「マスカット・ベーリーA」で造られた新酒ワインを「山梨ヌーボー」と呼び、その解禁日が」が11月3日です。
「東晨洋酒」で造られた山梨ヌーボーもこの時期に新酒として登場します。
今年、山梨の各地で育った葡萄が、それぞれどんな個性を持って、どんなワインになって登場するのか楽しみですね。

ワインが美味しい季節、今年も「ワインツーリズムやまなし2019」が11月9日(土)から11日(月)にかけて開催されます。
「東晨洋酒」のワイナリーも11月9日のコースで巡っていただけますので、個性溢れるワインを味わいに是非お越しください。

「ワインツーリズム山梨2019」
https://www.yamanashiwine.com/(外部リンク)  

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<商品情報>

 toushinyoushu2019-07(外部リンク)

 

「決してスマートではない武骨な男の造る武骨な葡萄酒たち。あなたの過ごす楽しいひと時のお供になれたら幸せです。」

(東晨洋酒オーナー田草川より)

https://store.shopping.yahoo.co.jp/yamanashi-online/sunriver.html(外部リンク)                        


<施設紹介>

 

Related facility

東晨洋酒株式会社

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山梨県山梨市歌田66

電話: 0553-22-5681

施設の詳細を見る(外部リンク)

 

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「東晨洋酒株式会社」は、昭和38年に日川高校の卒業生が集まって創業。葡萄農家の自分達が育てた葡萄で好きなワインを造り、皆で飲めれば良いという思いで始めたそうです。今でも社長の高校の恩師、同級生などが育てた葡萄を使ってワイン造りをしています。

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