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天野さん

更新日:2019年4月4日

We♡山中湖 ~やまなし観光産業 経営者インタビューVol.2~(一社)わかさぎプロジェクト 代表理事 天野績男 氏

やまなし観光推進機構ツーリズムビジネス活性化センターでは、県内の観光事業等において頑張っておられる企業経営者のインタビューを通じて、キラリと光る取組みをご紹介していきます。

第2回目となる今回は、富士山のふもと山中湖周辺でワカサギを活用した村おこしに取組む団体「わかさぎプロジェクト」の代表である天野さんにお話をお伺いします。

 

 

わかチョビ

(ワカサギを使ったアンチョビを開発)

 【山中湖ならではの食べ物、お土産がない】

 

 

―「天野さんは保険代理店を経営されてますが、なぜワカサギを利用した商品開発をされたのですか?」

 

 

 

保険代理店を30年間続けることができたのも地元山中湖の人々に育てられ、支えていただいたおかげです。アイラブ山中湖の気持ちで何かお返しをしたいとずっと思っていました。5年程前でしょうか、ボート店ジュピターを経営する高村君と村の観光について話してました。私達はまだ子供が小さかったのでこの土地の将来について危機感があり、地域に残る何かをしたいと思っていました。

山中湖はこれだけ風光明媚な観光地だけど、山中湖ならではの食べ物やお土産が無く、観光客はほうとうを食べて信玄餅を買って帰ってしまう。それは山中湖でなくてもできることです。

 

―「確かにそうですね。」

 

そこで、仲間たちと食材として使えてお土産物にもできる山中湖の資源を探ることから始めました。はじめは鹿や馬などについても考えました。でも、どちらもしっくり来ませんでした。鹿は既に様々な地方で先に取り組みが始まっていましたし、馬を食べる文化はあったけれど自分たちで調達となると難しい話でした。

  

山中湖

(山中湖から見た富士山)

 

 

―「馬や鹿では山中湖ならではのお土産、という感じはしませんね。」

 

 

ワカサギを選んだのは子供の頃から釣りや食べ物として身近だったということもあるのですが他にも理由があります。私の父や高村君は業としてワカサギを獲ったりもしますが、山中湖で獲れたワカサギをホテルに卸そうとしたところ価格で外国産に負けてしまうなんてことも聞いていたからです。地場産のものが負けてしまうのは悔しかった。

 

―「山中湖と言えばやはりワカサギですよね。」

 

ところが、ワカサギは当時は地域産業資源として県の指定を受けていませんでした。

商品化に向けて相談していた都留信用組合の荒井君が調べてくれて初めて知りました。それから彼が色々と情報を集めて働きかけを行ってくれた結果、山中湖のワカサギが地域産業資源として指定を受けることができました。地元の資源について見つめなおす良いきっかけになったと思います。

 

―「ワカサギを利用してどんな商品を作るのか、難しかったのではないですか?」

 

商品開発についてはペンションを経営していてフランス料理の料理人でもある渡辺君が苦労して開発してくれました。干物、魚粉、煮干し、みりん焼き、エスカベッシュ、コンフィ等色々検討しましたが、最終的にはワカサギで作ったアンチョビ~わかチョビ~に決めました。

 

―「アンチョビですか?」

 

10年前では無理だったでしょうが、食文化の変化とネット検索で今ではアンチョビの使い方も料理好きの方や若い女性には問題ないと思えましたし、なによりも元々この土地で提供されていた天ぷらや佃煮といった方法と大きく差別化できると考えました。保存も効きますしドレッシングやソースとして他の多くの料理に応用ができます。パスタなんかもいいですよね。ただ、実際に商品化するには様々なパターンを検討しましたが、発酵食品でしたので非常に時間がかかりました。

 

―「検索すると料理法もたくさん出てきますしお洒落ですね。」

 

出来上がりの商品のパッケージやポスター等のプロモーションツールも何とかお洒落な意味のあるものにしたいと皆で考えていたのですが、たまたま近所に引越してきた方がちょうどデザイナーで、私たちの活動に賛同し協力してくれました。

 

試食会

(試食会を開催)      

 【山中湖産の食べ物を喜んでもらえて自信になった】

 

ー「商品を開発後はどうされたのですか?」

 

商品を作ってそれで終わりではありません。私たちの目標はワカサギの山中湖周辺での魅力的な利用を促進することです。地域の宿泊施設や飲食店でワカサギの料理を提供してもらい、食の魅力にしていきたい。そのためには、どんな料理ができるのか、どんな提供方法が良いのか検討する必要があり、試食会を行うことにしました。

 

―「試食会の開催ですか、難しそうですね。」

 

私の事務所の30周年記念と併せたりして試食会は複数回実施することができ、ワカサギの提供方法について色々な方から意見をいただくことができました。特に山中湖産の食べ物を提供できるという点を皆さんに喜んでいただけたのが私達の自信になりました。

 

―「天野さんのお話には色々な業種の方が登場しますね。」

 

ボート店やペンションに保険代理店とデザイナーですからね(笑)。そこに地元の金融機関も協力してくれて。他にもまだ仲間がいるんですよ。このプロジェクトが皆の本業に関わっているわけではないけれど、有志で集まって知恵を出し合っています。

 

 ―「地域の有志で法人設立までされるのは大変ではなかったですか?」

 

地元愛のある人の集まりなので、もうほとんど学生のノリのように楽しく活動してました。そんな感じでしたので対外的にはきちんとした組織の体制を整えた方が良いという意見もあり、必要も出てきたので法人設立となりました。学生のサークルから少しだけビジネスに昇華した感じです。

 

集合写真

(メンバー写真)

【皆で取り組みだしたら山中湖のワカサギにどんどん興味がわいてきた】

 

―「最近の新聞記事にワカサギが山中湖・河口湖に持ち込まれて100年とありましたが?」

 

そうなんです。そもそもワカサギは霞ケ浦の特産物でそこから全国各地に移植された生き物です。

山中湖には「富士癒しの森研究所」という東大大学院の研究施設があります。そこの先生にお願いして山中湖のワカサギの歴史について調べてもらいましたら、ワカサギの卵が持ち込まれてちょうど今年が100周年だったんで取材に来てもらいました。

100年前に苦労して山中湖周辺の人々の生活のためにワカサギを移植されたのは、山梨県出身で東京大学名誉教授となり日本の水産学に大きな功績を残された雨宮育作先生という方です。その後、冬の風物詩として山中湖の穴釣りが定着し地域の産業へと成長してきました。

 

―「商品開発だけでなく、ワカサギの歴史にまで広がって行ったんですね。」

 

皆で取り組みだしたらどんどん興味が湧いてきました。私達の活動に今回の100周年の節目が重なったことにも何か運命的なものを感じました。それと同時に山国の山梨に魚の資源をもたらしてくれた先人に感謝を伝えたくなりまして、皆で東京の雨宮先生のお墓にお参りに行っちゃいました(笑)

雨宮先生

(ワカサギを移植された雨宮育作先生  東京大学水園生物科学専攻所蔵)

 

―「お墓は見つけられたのですか?」

 

雨宮先生のお墓は偉人として情報が公開されていたのでお線香をあげることができました。そこでたまたまお墓の管理人さんに、~こんなわけでお線香あげに来たんです~なんて話をしたら、

「せっかく来たなら、住所は教えられないけど雨宮先生のご令嬢に手紙を書いてくれれば送ってあげるよ」

とおっしゃってくださいまして、その場で感謝のお手紙を書きました。

 

―「粋な管理人さんですね!」

 

そうしたところ、なんと後日お返事をいただきまして直接お会いすることができました。新聞記事には山中湖のワカサギの歴史が雨宮先生によって生まれたことや、地域の感謝の声が書かれていたのでお渡ししたところ、非常に喜んでいただきました。

 

―「新しい交流が生まれたんですね。」

 

活動を始めた頃にはこんな広がりができるなんて思いもしませんでした。面白いものですよね。

料理写真

(わかチョビを利用した料理)

【ワカサギを山中湖の名物にするために協力しあえる仲間づくりをしていきたい】  

 

―「今後はどんな活動をされていくのでしょうか?」

 

地域に貢献してくれた東京大学や移入元の霞ケ浦などにも感謝を伝える交流イベントを開催してワカサギの利用や湖の環境保全などを地域で考えていけたらいいなと思っています。また、先人のもたらしてくれた資源を地域で活用していく事に力を入れたいですね。

自転車

(山中湖はオリンピックの自転車競技会場)

 

―「山中湖は2020年オリンピックの自転車競技の会場ですよね。」

 

きっと外国からもより多くの観光客が山中湖にも来てくれると思います。自転車で走ったり、ワカサギ釣りをしたり、これだけ近くで美しい富士山を眺めて感動してもらえると思います。その時に山中湖ならではのお土産、お料理でおもてなしできるよう商品開発や仲間づくりをしていきたいと思います。

 

 

事務所インタビュー

(事務所でインタビューに応じる天野さん)

 

 

あとがき

 

異なる事業を営む仲間たちと協働する楽しさから「商品を作る事」以上の効果を生み出している。素材を深掘りし、地域の資源としての価値を高める事へと活動が広がりを持ち始めている。

 

近年の観光において観光客は贅沢な建物やアトラクションではなく、その土地ならではの素材に歴史やストーリーを感じる事を求めている。一つの商品・コンテンツとして素材の歴史を明らかにして次へつなぐ、先人たちへの感謝を通じて地域でのワカサギの価値を高めていくという活動は観光資源のブランディングである。地元で大切に思われているからこそ観光客にも魅力が伝わる。なぜならその地域の光を観るのが観光だからである。

 

今回取材させていただいたボート店ジュピターの高村さんによるとワカサギ釣りのおすすめシーズンは意外にも3月中旬からゴールデンウィーク位。今からが雪の心配もなく油の乗ったワカサギが楽しめるとのこと。

ワカサギ釣り

(楽しい山中湖のワカサギ釣り)

 

(公益社団法人 やまなし観光推進機構  ツーリズムビジネス活性化センター    廣瀬・大森)

 

 

 

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ジュピター

山中湖ジュピター ワカサギ釣り・ドーム船・貸しボート

〒401-0501 山梨県南都留郡山中湖村山中72

電話番号:  090-8641-6698

施設の詳細を見る(外部リンク)

 

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茶居夢

Restaurant Hotel 茶居夢  フレンチ料理とアクティビティの宿

 〒401-0502 山梨県南都留郡山中湖村平野514-19

電話番号:0555-65-6600

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